【内接円:公式】三角形の内接円の半径と接点の距離の公式を完全攻略!

中学数学

 三角形の内接円半径接点までの距離を求める公式を、図や具体例を交えてわかりやすく解説します。中学数学の基礎から応用、入試対策にも役立つ内容で、苦手を克服したい方に最適です!

公式をマスターした人は実践問題↓で確認してください。

面積と3辺の長さを元に内接円の半径を求める

公式

 面積は $S$ であると与えられている場合、公式的に示すと次のようになります。

$$r=\frac{2S}{a+b+c}$$

証明

 しかしこれは公式として覚えるのではなく、次のアニメーションのように都度考えられる方がよいです。公式を覚えるよりも解き方を覚える方が楽ですし、応用が利きます。

つまり、下図のように $\triangle\mathrm{ABC}$ を3つの三角形 $\triangle\mathrm{OBC}$, $\triangle\mathrm{OCA}$, $\triangle\mathrm{OAB}$ に分けて考えると、

\begin{eqnarray}
S &=& \triangle\mathrm{OBC}+\triangle\mathrm{OCA}+\triangle\mathrm{OAB}\\
&=& \frac{1}{2}ar+\frac{1}{2}br+\frac{1}{2}cr\\
&=& \frac{1}{2}r(a+b+c)\\
\therefore\; r &=& \frac{2S}{a+b+c}
\end{eqnarray}

3辺の長さを元に頂点から接点までの距離を求める

公式

 これも公式的に示すと下記のようになりますが、公式そのものを覚えるのはやめましょう

$$x=\frac{b+c-a}{2}$$

証明

 これも、次のアニメーションのように都度考えられるようになりたいです。

辺 $\mathrm{AC}$ と辺 $\mathrm{AB}$ の和から辺 $\mathrm{BC}$ を引くことで $2x$ が残ります。

\begin{eqnarray}
2x &=& (x+z) + (x+y) – (y+z)\\
&=& b+c-a\\
\therefore\; x &=& \frac{b+c-a}{2}
\end{eqnarray}

特に直角三角形の場合は半径が求まったことになる

 特に $\angle\mathrm{A}=90^\circ$ の直角三角形の場合は下記の青部分の四角形が正方形となるため、上記の $x$ が内接円の半径 $r$ です。

$$(x=)\,r=\frac{b+c-a}{2}$$

ちょっとした発展問題

問題

三角形の面積を求めよ。

上の場合の発展形です。3辺の長さが分かっているわけではありませんが、その代わりに直角三角形であるとなっているため、三平方の定理を用いるのであろうと想像できます。

三平方の定理は中学三年生の最後の方で習う単元ですが実はあまり難しくないので、また入試にも非常によく出てくるので、この機に先取りマスターしておきましょう。下記の2つの記事でほぼマスターです。

解説

 他の辺は、$x$ を用いることにより下記のようにあらわせます。

これに三平方の定理を適用して、

\begin{eqnarray}
(x+a)^2+(x+b)^2 &=& (a+b)^2\\
(x^2+2ax+a^2)+(x^2+2bx+b^2) &=& a^2+2ab+b^2\\
2x^2+2(a+b)x &=& 2ab\\
x^2+(a+b)x &=& ab\tag{1}\label{p7920eq1}
\end{eqnarray}

ここで、面積 $S$ は

$$S=\frac{1}{2}(x+a)(x+b)=\frac{1}{2}\{x^2+(a+b)x+ab\}$$

であるから、\eqref{p7920eq1}を代入して、

\begin{eqnarray}
S &=& \frac{1}{2}(ab+ab)\\
&=& ab
\end{eqnarray}

$$S=ab$$

公式

 従い、公式的には次のようになります。

下記の三角形の面積 $S$ は、$S=ab$ である。

でも、公式として覚えるのはやめましょう。上のように証明がスラスラできるようになるか、下のように図形が書けるようになりましょう。

美しい図形証明

 さてここで、$S=ab$ を図形的に理解してみます。非常に美しいです。次のアニメーションにて。

 すなわち、下記の図で

$$\triangle\mathrm{OFH}\equiv\triangle\mathrm{BFP},\;\;\triangle\mathrm{OGH}\equiv\triangle\mathrm{CGR}$$

に気が付けば、下記の図から青色の面積 $S$ は橙色の面積に等しく、$ab$ であることが分かります。

解説

 まず、$a$ と $b$ の長さは円と接線の関係から次の位置に移動できます。

直角三角形を反転させてさらに $a$ と $b$ を移動させることができます。

いま求めたいのは青い部分の面積ですが、

上で述べたように

$$\triangle\mathrm{OFH}\equiv\triangle\mathrm{BFP},\;\;\triangle\mathrm{OGH}\equiv\triangle\mathrm{CGR}$$

なので、青の面積は↓のようになります。

残りの橙の部分の面積は $ab$ ですが、これこそが青の面積です。

まとめ

 内接円の考え方の基礎を示しました。公式は覚えるのではなく、導けるようになりましょう。公式をマスターした人は実践問題↓で確認してください。

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