【2円の共通接線:応用問題】いかに基本形に戻すかがキモ 基本パターンが大事!!

中学数学

 一見難問ですが、基本形がしっかりと頭に入っている人は何を求めるべきかが明確です。基本が大事とはよく言いますが、基本とは必ずしも簡単な問題なのではなく、難問を解きほぐす道しるべです。

前稿はこちらです。

共通接線の難問例

2円の共通外接線の難問例

$x$ を求めよ。

基本形の確認

 基本形はこの形です。

つまり、半径中心間の距離が分かればよいわけです。
実は半径も、各々の値自体はわからなくてよいです。

求めたいものを文字に置いて立式

半径のほかに $\mathrm{BC}=y$ と置くと、

\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
2r_1+y &=& 6\\
2r_2+y &=& 4\tag{1}\label{p7836eq1}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

なので、式\eqref{p7836eq1}の上の式と下の式を足すことにより、

$$2(r_1+r_2+y) = 10$$

すなわち、

$$r_1+r_2+y=5\;(=d)$$

また、式\eqref{p7836eq1}の上の式から下の式を引くことにより、

\begin{eqnarray}
2(r_1-r_2) &=& 2\\
\therefore\;r_1-r_2 &=& 1
\end{eqnarray}

下図から得られる三平方の定理より、

\begin{eqnarray}
x^2 + (r_1-r_2)^2 &=& d^2\\
x^2 + 1^2 &=& 5^2\\
x^2 &=& 24\\
\therefore\; x &=& 2\sqrt{6}\;(>0)
\end{eqnarray}

$$x=2\sqrt{6}$$

2円が外接するときの共通外接線の難問例

$\triangle\mathrm{STU}$ の面積を求めよ。

基本形の確認

 基本形はこの形です。

ここから $x$ を求めるのがまずは基本です。その後、高さを求められれば面積は求められます

$x$ はすぐに分かる

$x$ は、下図から得られる直角三角形より、

$$x=2\sqrt{3}$$

あとは高さが求まればよい

 高さは、これも「台形型相似」の基本形なので、すぐに分かります。

$$\mathrm{UH}=\frac{3}{4}\times 1+\frac{1}{4}\times 3=\frac{3}{2}$$

です。ここの求め方は下記の記事でじっくりとかつ直感的に解説していますので、パッと分からなかった方は見てください。

よって、求める面積は、

$$2\sqrt{3}\times\frac{3}{2}\div 2=\frac{3\sqrt{3}}{2}$$

$$\triangle\mathrm{STU}=\frac{3\sqrt{3}}{2}$$

2円の共通内接線

$\mathrm{ST}$ の長さを求めよ。

基本形の確認

 基本形はこの形です。

これも、半径中心間距離が分かればよいわけですが、先に見たように必ずしも個々に分からなくても大丈夫です。

求めたいものを文字に置いて立式

円 $\mathrm{O}$ の半径を $r_1$、円 $\mathrm{P}$ の半径を $r_2$ と置くと、条件より、

\begin{eqnarray}
2r_1+2+2r_2 &=& 18\\
\therefore\; r_1+r_2 &=& 8
\end{eqnarray}

また、

$$(\mathrm{OP}=d=)\, r_1+2+r_2=10\;(\because r_1+r_2=8)$$

であるから、下図から得られる三平方の定理より、

\begin{eqnarray}
x^2+(r_1+r_2) &=& d^2\\
x^2+8^2 &=& 10^2\\
x^2 &=& 36\\
\therefore\;x &=& 6\;(>0)
\end{eqnarray}

$$x=6$$

高校入試問題より

西大和学園 2022年度

色のついている三角形部分の面積を求めよ。

sugaku.pdf

 この問題は共通接線を求めさせるものではないため、本稿で述べている共通接線としてのコンセプトからは少し離れますが、基本を大切にせよ、あるいはイメージを大切にせよ、というメッセージを伝えるのにちょうどよい問題と思いましたので取り上げました。

一気通貫アニメーションで確認

 解き方のストーリーを頭の中で考えてみてください。その上でこのアニメーションを見てみてください。

解説

辺の長さは相似から分かるが、相似の式を立てるよりもイメージで解こう

 まず、$\mathrm{AP}=6$ であることはすぐに分かります(半径なので)。そして面積を求めるには $\mathrm{PQ}$ か $\mathrm{AQ}$ が分かればよいです。

$\mathrm{AQ}$ の方が求めやすいのでこちらを求めましょう。これが求まれば $\mathrm{PQ}$ の方は三平方の定理から求められます。

では、$\mathrm{AQ}$ を求めるにはどうするか。三角形の相似を使えばすぐに分かります。それも、別に相似比の式を立てずとも、$6\rightarrow 4\rightarrow 2\rightarrow 0$ というように比例的に底辺がなくなっていく様子がイメージできれば簡単です。

この辺りが基本を大切にイメージを大切に、と言っている部分で、必ずしも難しいことを考えなくとも直感的にすぐにわかります。

このイメージは下記の記事↓でじっくりとかつ直感的に解説していますので、今一度復習してみてください。

三平方の定理だが、式の工夫で計算は楽に

 $\mathrm{AQ}$ が求まったので、三平方の定理から $\mathrm{PQ}$ を求めます
その際、次のように求めるのが基本ですが、計算がしんどいです。

\begin{eqnarray}
6^2+x^2 &=& 30^2\\
x^2 &=& 30^2-6^2\\
&=& 900-36\\
&=& 864\\
&=& 144\times 6\\
\therefore\; x &=& 12\sqrt{6}
\end{eqnarray}

ここで、求め方を工夫してみましょう。

\begin{eqnarray}
x^2 &=& 30^2-6^2\\
&=& (30+6)(30-6)\\
&=& 36\times 24\\
\therefore\; x &=& 6\times\sqrt{24}\\
&=& 6\times 2\sqrt{6}\\
&=& 12\sqrt{6}
\end{eqnarray}

こちらの方が計算が楽です。

$$a^2-b^2=(a+b)(a-b)$$

の因数分解を用いています。

三角形の面積を求める

 問題文では三角形の面積が求められているので、

\begin{eqnarray}
\triangle\mathrm{APQ} &=& 6\times 12\sqrt{6}\div 2\\
&=& 36\sqrt{6}
\end{eqnarray}

$$\triangle\mathrm{APQ}=36\sqrt{6}$$

まとめ

 基本が大事とはよく言われますが、そのことがよく分かるのではないでしょうか。基本形が頭にしっかりと入っていることにより、何を求めれば答えに近づくかがイメージできます

そして、必ずしも個々に値が分からなくても求められる場合もあり、それがさらに難しくしているところだと思いますが、これも、一般形の練習をした際に、

必ずしも個々に分かる必要はないのだな

というところをつかんでおければ、非常にセンスが良いです。

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