【等積変形と面積半分問題:応用】等積変形で複雑な面積計算を避ける超絶楽な裏ワザ解法!!

中学数学

 図形の面積を半分に分ける直線を求める問題は、高校入試で頻出のテーマです。しかし、複雑な計算に時間を取られてしまい、解答にたどり着けない…そんな経験はありませんか?この記事では 等積変形の考え方を使った“裏ワザ解法” を紹介します。面倒な面積計算を避けながら、三角形や四角形の面積半分問題をスッキリ解く方法を、例題付きで徹底解説。入試対策や定期テストの得点アップに直結する必読の内容です。

なお、等積変形を使った問題は今回示したような単独の問題のみならず、二次関数と絡めた問題も多く出ます。それらはまとめのところにリンクを置いておくので、そちらも確認してください。また、基礎編もあります↓のでまだ見ていない方はそちらもどうぞ。

三角形の非頂点からの面積半分問題

 頂点でない点から面積を半分にする問題です。これも、基礎編で見た頂点からの面積半分問題を用いることができ、そのことにより楽に解けます

問題

点 $\mathrm{C}$ を通り、$\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を半分にする直線 $l$ の式を求めよ。

一気通貫アニメーション

解説

なぜか点 $\mathrm{O}$ を通る面積二等分線を求める

 まずここで、点 $\mathrm{O}$ を通り $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を二等分する直線を考えます。具体的には直線そのものが欲しいわけではなく、その直線と辺 $\mathrm{AB}$ が交わる点 $\mathrm{M}$ が欲しいです。

すると、点 $\mathrm{M}$ は明らかに辺 $\mathrm{AB}$ の中点なので、

$$\mathrm{M}(1,5)$$

です。

等積変形を考える

完成形イメージを先んじて

 ここで、ちょっと先んじて完成形を示し、これから行おうとすること $—$等積変形$—$のイメージをつかみます。

いま、等積変形により

$\triangle\mathrm{OCM}$ の面積 $=$ $\triangle\mathrm{DCM}$ の面積

です。ここのところは下記の記事↓で復習できます。

$\triangle\mathrm{OCM}$ の面積 $=$ $\triangle\mathrm{DCM}$ の面積

ということは、

$\triangle\mathrm{OAM}$ の面積 $=$ $\triangle\mathrm{DCA}$ の面積

となり、求める直線にぐっと近づきます。なので、等積変形に力を入れます。

底辺を $\mathrm{CM}$ として等積変形を行う

 点 $\mathrm{O}$ を通り、底辺 $\mathrm{CM}$ (直線 $l_1$) に平行な直線 $l_2$ を考えます。この直線 $l_2$ と線分 $\mathrm{AB}$ の交点を $\mathrm{D}$ とします。すると、青の面積と赤の面積は等しいです。すなわち、

$\triangle\mathrm{OCM}$ $=$ $\triangle\mathrm{DCM}$

です。

直線 $\mathrm{CD}$ を求めればよい

$\triangle\mathrm{OCM}$ $=$ $\triangle\mathrm{DCM}$

なので、これらに $\triangle\mathrm{CMA}$ を加えた図形である $\triangle\mathrm{OAM}$ と $\triangle\mathrm{DCA}$ は同じ面積であり、すなわち、

$\triangle\mathrm{OAB}$ の半分

です。

よって、求める直線は $\mathrm{CD}$ であり、それは、

$$l:y=-2x+4$$

です。

練習問題

 ここでは、上で見た問題の復習として下記の問題を考えます。解説は上と同じになるため省きますので、各自で解いてみてください。

問題

点 $\mathrm{C}$ を通り、$\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を半分にする直線 $l$ の式を求めよ。

一気通貫アニメーション

答え

$$l_1:\,y=-\displaystyle\frac{1}{7}x+\displaystyle\frac{30}{7}$$

少し補足

 最後の直線の式を求めるところだけ少し補足します。楽に求めるためのコツです。

直線の式を求めるには、まずその傾きを求めます。今の場合は、$\mathrm{D}$ から $\mathrm{C}$ に向かって

$x$ 方向に: $\displaystyle\frac{3}{2}+2=\displaystyle\frac{7}{2}$

進み、

$y$ 方向に: $\displaystyle\frac{9}{2}-4=\displaystyle\frac{1}{2}$

だけ下がっていますので、その傾きは、

$$-\frac{\displaystyle\frac{1}{2}}{\displaystyle\frac{7}{2}}=-\frac{\displaystyle\frac{1}{\cancel{2}}\times\cancel{2}}{\displaystyle\frac{7}{\cancel{2}}\times\cancel{2}}=-\frac{1}{7}$$

です。

そしてこの後がミソですが、傾きが求まれば求める直線の式は一行で書けて

$$l:\;\;y=-\frac{1}{7}(x-2)+4$$

です。これは、求める直線が点 $(2,4)$ を通るという事実を使って立式しています。実際、$x=2$ を代入すると、$y=4$ になりますよね。あとはこの式を展開すれば求める式になります。

このように考えるのが楽であり、この辺りは下記の記事↓で詳しく述べています。

四角形の面積半分問題:2つの解法で

 ここでは四角形の面積半分問題典型的な2通りの考え方で解いていきます。

問題

点 $\mathrm{B}$ を通り、四角形 $\mathrm{OABC}$ の面積を半分にする直線の方程式を求めよ。

一気通貫アニメーション_解法1

解説_解法1

四角形の面積を求める。但し、求めきらなくてもよい。

 四角形の面積を求めるには、三角形に分けて考えます。今は点 $\mathrm{B}$ が主役になっているので下記のように分けます。

実際求めることはできますが、求めなくても問題は解けます。比だけ分かればよいです。この場合、底辺は $\mathrm{OB}$ 共通なので、面積比は高さの比であり、

$$4:6$$

です。

さて、今は $4:6$ に分けたいのではなく、半分に分けたいです。そうすると、赤から少しばかし青の方に持ってこられればよさそうです。具体的には、⑥=①+⑤に分けて①を青に組み込めばちょうど半分になります

このようになる点 $\mathrm{M}$ を求めればよく、そのためには $\mathrm{OC}$ を $1:5$ に分ければよいです。

求める直線は $\mathrm{BM}$ なので、傾き $\displaystyle\frac{15}{2}$ であることに注意すると、

$$l:\;y=-\frac{15}{2}x+9$$

です。

$$l:\;y=-\frac{15}{2}x+9$$

参考

 面積配分を考えるところなどは下記の入試問題でも出ていますので、見てみてください。

一気通貫アニメーション_解法2

解説_解法2

等積変形

 底辺に平行に頂点を動かしても面積は変わりません(等積変形)。底辺を $\mathrm{OB}$ とみて、それぞれの頂点から平行線を引きます

そして頂点を動かします

そうすれば、問題文の四角形 $\mathrm{OABC}$ の面積はもはや $\triangle\mathrm{A^\prime BC^\prime}$ の面積です。

この状態で頂点 $\mathrm{B}$ を通り面積を二分するのは簡単です。下記のようになります。

これをもう一度元の四角形に戻します

点 $\mathrm{M}(1,\displaystyle\frac{3}{2})$ が面積を二分する点です。よって求める直線は $\mathrm{BM}$ なので、

$$l:\;y=-\frac{15}{2}x+9$$

です。

$$l:\;y=-\frac{15}{2}x+9$$

まとめ

 面積半分問題の応用を取り扱いました。具体的には、三角形の頂点でないところから面積を半分にする問題、そして四角形の面積を半分にする問題です。

それぞれ等積変形を用いることにより非常に簡単に解くことができました。一方でこれらは実際に面積を求めることにより強引に解くこともできます。

ここではこれら等積変形を用いて楽に解けるワザを身に着けてください。

なお、等積変形を使った問題は今回示したような単独の問題のみならず、二次関数と絡めた問題も多く出ます。例えば、

下記記事↓のパターン1

入試問題の例では、下記↓の大阪星光学院の問題四天王寺の問題そうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました