【円周角の定理 #3|直角三角形・相似】角度と辺の比の協奏曲|高校入試の典型パターンを3題で解説

中学数学

円周角の定理の高校入試問題です。まず押さえたいのは、角度が移動するという感覚です。これが分かると、特殊な直角三角形相似が自然と見えてきます。

四天王寺高校 2025年度

この問題は下記の記事でも別解を含めて解説しています。読み終えた後にこちら↓も読むと理解がさらに深まります。

問題

$\mathrm{AB}=4$, $\mathrm{BC}=5$, $\mathrm{CA}=6$ である。$\mathrm{AE}=x$, $\mathrm{DE}=y$ とおく。
(1) 線分 $\mathrm{BE}$ の長さを求めよ。
(2) $xy$ の値を求めよ。
(3) 線分 $\mathrm{AD}$ の長さを求めよ。

reiwa7_shiken-mondai.pdf

【この問題のポイント】

  • (1) 角の二等分線
  • (2) 方べきで積を処理
  • (3) 角度移動で相似をつくる

解答を一気通貫アニメーションで

初見では「何が起きているの?」となると思います。ここから一緒に、ゆっくりステップを追っていきます。

(1) 解説

角の二等分線を見たら…ここが最初の突破口

$\mathrm{AD}$ は $\angle\mathrm{BAC}$ の二等分線なので、

$$\mathrm{AB}:\mathrm{AC}=\mathrm{BE}:\mathrm{EC}$$

とすぐに比が立ちます。ここは一気に進めてしまいましょう。

$\mathrm{BC}=5$ を $4:6(=2:3)$ に分けるので、$\mathrm{BE}=2$, $\mathrm{EC}=3$ です。

$$\mathrm{BE}=2$$

角の二等分線は「比が一瞬で決まる」便利ツールです。下記の記事で鍛えておくと強くなります。

(2) 解説

積が分かれば…はい、方べきの定理です

$xy$ のように「積を求めよ」と言われたら、方べきの定理が候補に上がります。

図に当てはめると、すぐにこうなります。

$$xy=6$$

(3) 解説

ここで円周角の定理が “角度を移動” させる

まだ使っていない条件は「$\triangle\mathrm{ABC}$ が円に内接している」こと。つまり、円周角の定理が使えます。

$$\angle\mathrm{CAD}=\angle\mathrm{CBD}$$

角度が移動しました。ここが勝負どころです。

この形は、

一つの角が共通で、他の角も等しい二つの三角形

つまり、相似です。

裏返すと相似が見やすい

裏返すと、比が一気に読み取りやすくなります。

$$4:2=z:y=x+y:z$$

ここから連立方程式を立てます。先に求めている $xy=6$ も加えて、

\begin{cases}
4y=2z\\
4z=2(x+y)\\
xy=6
\end{cases}

より、$x=3\sqrt{2}$, $y=\sqrt{2}$, $z=2\sqrt{2}$。WolframAlphaで確認

$$\mathrm{AD}=x+y=4\sqrt{2}$$

別解:この問題をしゃぶり尽くして達人へ

 下記↓の記事ではこの問題を3つの解き方で解いています。また、同じ図形ですが問題を少し変えた類題を出しています。一つの問題をしゃぶり尽くす理想の勉強法です。

大阪星光学院高校 2024年度

問題

円の半径と $\mathrm{CE}$ の長さを求めよ。

2024hi-math-pr.pdf

【この問題のポイント】

  • $60^\circ$ と $30^\circ$ から直角三角形を見抜く
  • 弧の長さが同じ=円周角の大きさが同じ
  • 直角三角形が2つくっついた “あの形” に気づく
  • 最後は方べきの定理で仕上げる

解答を一気通貫アニメーションで

初見では「どうしてこうなるの?」となりがちです。ここから一緒に、ゆっくり分解していきます。

解説

$60^\circ$ と $30^\circ$ を見たら…直角三角形が浮かぶ

まず、$\angle\mathrm{ABD}=60^\circ$, $\angle\mathrm{ADB}=30^\circ$ より、

$$\angle\mathrm{A}=90^\circ$$

と分かります。ここで一気に世界が開けます。

$\mathrm{BD}$ は直径

直角が出た瞬間に「直径」が確定するのは、円周角の定理の鉄板パターンです。

$\mathrm{BC}=\mathrm{CD}$ は “円周角が同じ” のサイン

問題文より、

$$\mathrm{BC}=\mathrm{CD}$$

なので、

$$\angle\mathrm{BAC}=\angle\mathrm{DAC}=45^\circ$$

と分かります。ここで角度が揃いました。

$45^\circ$ と $60^\circ$ を見たら…あの “直角三角形×2” の形

$\triangle\mathrm{ABE}$ は $45^\circ$ と $60^\circ$ を持つ三角形。ここでピンと来たいのが、

直角三角形が2つくっついた形

という有名パターンです。

青い直角三角形の各辺の長さが分かり、

赤い直角三角形からも各辺の長さが分かります。

半径が分かった!ここが一気に進むポイント

求めた $\mathrm{AB}$ の長さは、実は下図の正三角形の半径そのものです。

半径は、$\sqrt{3}+1$

$\mathrm{ED}$ はすぐに分かる

半径が分かれば、直径も分かります。$\mathrm{BE}=2$ なので、

$$\mathrm{ED}=2\sqrt{3}$$

とすぐに求まります。

最後は方べきの定理で仕上げる

ここまで来れば、あとは方べきの定理で $\mathrm{EC}$ を求めるだけです。

\begin{eqnarray}
\sqrt{6}\times\mathrm{EC} &=& 2\times 2\sqrt{3}\\
\therefore\;\mathrm{EC} &=& 2\sqrt{2}
\end{eqnarray}

$$\mathrm{EC}=2\sqrt{2}$$

東海高校 2024年度

問題

図のように、1辺の長さが $7\mathrm{cm}$ である正三角形 $\mathrm{ABC}$ が円 $\mathrm{O}$ に接している。点 $\mathrm{P}$ は弧 $\mathrm{BC}$ 上を動き、$\angle\mathrm{BPC}=120^\circ$ である。
(1) 円 $\mathrm{O}$ の半径は [ ] $\mathrm{cm}$ である。
(2) $\angle\mathrm{BAP}=15^\circ$ のとき、$\mathrm{CP}=$ [ ] $\mathrm{cm}$ である。

(3) はかなり難問なので、ここでは省略。

【この問題のポイント】

  • (1) 正三角形→半径 はパターン化して解けるように
  • (2) $15^\circ$ は、$60^\circ-45^\circ$ で既知角度

解答を一気通貫アニメーションで

初見では「何をどう見ればいいの?」となると思います。ここから一緒に、ゆっくり整理していきます。

(1) 正三角形→半径 はパターン化して解けるように

正三角形が出てきたら、まずは高さ。そして重心。この流れで半径が決まります。

(1) のアニメーションはこちら。

(1) 解説

正三角形の高さは “30-60-90” で一瞬

頂点 $\mathrm{C}$ から $\mathrm{AB}$ に垂線を下すと、$60^\circ-30^\circ-90^\circ$ の直角三角形になります。

$\mathrm{AH}=\displaystyle\frac{7}{2}$、そして比から $\mathrm{CH}=\displaystyle\frac{7\sqrt{3}}{2}$。

重心は “2:1” で内分する

点 $\mathrm{O}$ は重心なので、$\mathrm{CO}=\displaystyle\frac{2}{3}\mathrm{CH}$。

$$r=\frac{7\sqrt{3}}{3}$$

(1) の答え:$\displaystyle\frac{7\sqrt{3}}{3}$

(2) $ 15^\circ$ は、$ 60^\circ-45^\circ$ で既知角度

$30^\circ$, $45^\circ$, $60^\circ$ は誰でもピンときますが、$15^\circ$ も加えましょう。

$$60^\circ – 15^\circ = 45^\circ$$

つまり $15^\circ$ が出たら、$45^\circ$ を生む可能性を疑うのがコツです。

(2) のアニメーションはこちら。

(2) 解説

問題文より $\angle\mathrm{BAP}=15^\circ$。すると、

$$\angle\mathrm{PAC}=45^\circ$$

対応する中心角は $90^\circ$ なので、$\triangle\mathrm{POC}$ は直角二等辺三角形。

半径は (1) より $\displaystyle\frac{7\sqrt{3}}{3}$ なので、

$$\mathrm{CP}=\frac{7\sqrt{3}}{3}\cdot\sqrt{2}=\frac{7\sqrt{6}}{3}$$

(2) の答え:$\displaystyle\frac{7\sqrt{6}}{3}$

(2) の別解:$ \angle\mathrm{APC}=60^\circ$ に気づけるか

円周角の定理より、

$$\angle\mathrm{APC}=\angle\mathrm{ABC}=60^\circ$$

つまり $\triangle\mathrm{APC}$ は“直角定規を2つくっつけた形”。星光学院の問題と同じ構造です。

青い直角二等辺三角形から、

$$\frac{7\sqrt{2}}{2}$$

が分かり、赤い直角三角形から比で $\mathrm{CP}$ が求まります。

$$\mathrm{CP}=\frac{7\sqrt{2}}{2}\cdot\frac{1}{\sqrt{3}}\cdot2=\frac{7\sqrt{6}}{3}$$

(2) の答え:$\displaystyle\frac{7\sqrt{6}}{3}$

まとめ

ここまで、円周角の定理を使う高校入試問題を3つ見てきました。どれも難しく見えますが、共通している発想はとてもシンプルです。

円周角の定理は「角度が移動するという感覚を持つこと。これがすべての出発点です。

同じ弧に対する円周角は等しい。つまり、一方の角度が分かれば、もう一方も分かる。この “角度の移動” が見えると、図形の世界が一気に広がります。

今回の四天王寺の問題を題材に、角度の移動を様々な見方でとらえた下記記事もみてください。

また、直径の円周角は直角ですが、逆に直角三角形を見たら直径を含む外接円を思い描く発想もあります。下記の記事でその発想を体験してください。

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