愛知県26年度の入試問題から、発想の核をつかむのに最適な4問を取り上げます。どれも一見むずかしめですが、使っているワザはすべて基本的なものばかりです。難問を通して基本に立ち返ることで、発想の引き出しがより強固になります。
この記事では、
・面積半分問題
・角の二等分線+錯角 → 二等辺三角形
・動点と体積の変化
・立体の切断と平面化
といった入試で何度も登場する “頻出ワザ” を、4問を通してやさしく整理します。
ここでは本質をシンプルに理解するため、前半の簡単な問題は省き、また少し表現を変えている部分もあります。
問題1:面積半分問題
原点 $\mathrm{O}$ を通り、四角形 $\mathrm{BCGA}$ の面積を2等分する直線の式は?

この問題自体には放物線は関係ありませんが、前の問題で放物線の条件を使って $\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$, $\mathrm{C}$ の座標を求めています。
四角形 $\mathrm{BCOA}$ の面積を求める
分割
四角形を三角形に分けると、面積が求めやすくなります。

等積変形
等積変形を使うと、さらに手早く求められます。
等積変形と面積半分問題は下記の記事で復習できます。
面積は12
いずれの方法でも、四角形 $\mathrm{OABC}$ の面積は $12$ と求まります。
面積=6となる点 $\mathrm{P}$
$\mathrm{OC}=4$ なので、$\triangle\mathrm{OCP}=6$ となるには高さが $3$ であればよい。よって、
$$\mathrm{P}(3,7)$$
求める直線の式は
$$y=\frac73x$$

まとめ
面積半分問題は、二次関数と絡めて頻出です。面積を扱う問題全般でよく使う発想なので、この機に復習しておきましょう。
下記の記事も二次関数ですが、等積変形を用いて三角形の面積を楽に求めています。
問題2:角の二等分線+錯角 → 二等辺三角形
角の二等分線と平行線の錯角を組み合わせると二等辺三角形が自然に表れます。図形問題で非常に頻出の流れです。
図は、
- 四角形 $\mathrm{ABCD}$ は一辺 $12\mathrm{cm}$ の正方形。
- $\mathrm{FC}=3\mathrm{cm}$
- $\mathrm{AF}$ は $\angle\mathrm{EAD}$ の二等分線。
$\mathrm{BE}$ の長さを求めよ。

オリジナルは「四角形 $\mathrm{AECF}$ の面積」ですが、$\mathrm{BE}$ が分かればすぐに求まるため、ここでは $\mathrm{BE}$ を求める問題として扱います。
一気通貫アニメーション
錯角からの二等辺三角形
錯角
$\mathrm{AF}$ と $\mathrm{BC}$ を延長して交点を $\mathrm{G}$ とすると、錯角より
$$\angle\mathrm{FAD}=\angle\mathrm{FGC}=〇$$

$\triangle\mathrm{FAD}$$\unicode[sans-serif]{x223D}$$\triangle\mathrm{FGC}$
より、
$$\mathrm{CG}=4$$

二等辺三角形
次に
$$\angle\mathrm{GAE}=\angle\mathrm{AGE}=〇$$
より、
$\triangle\mathrm{EAG}$ は二等辺三角形
$\mathrm{BE}=x$ と置くと、各辺は次のように表せます。

三平方の定理
$\triangle\mathrm{ABE}$ に三平方の定理を使うと、
$$12^2+x^2=(16-x)^2$$

これを解いて
$$x=\frac72$$

まとめ
平行→錯角→角の二等分線からの二等辺三角形 は頻出の発想です。下記記事でその発想を定着させてください。
角の二等分線からの二等辺三角形 は、下記の記事でも扱っています。
問題3:動点と体積の変化
点が複数動くと複雑に見えますが、高さ一定 や 底面積一定 といった固定部に注目すると整理できます。体積の変化はグラフ化すると一気に見通しがよくなります。
立体 $\mathrm{ABCDEFGH}$ は1辺の長さが $6\mathrm{cm}$ の立方体で、$\mathrm{I}$ は $\mathrm{BF}$ の中点。
- 点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$ は頂点 $\mathrm{B}$ を同時に出発 $(t=0)$
- 点 $\mathrm{P}$ は毎秒 $1$ 秒の速さで $\mathrm{BA}$, $\mathrm{AD}$, $\mathrm{DC}$ 上を頂点 $\mathrm{C}$ まで進み、そこで止まる。
- 点 $\mathrm{Q}$ は毎秒 $1$ 秒の速さで $\mathrm{BC}$ 上を頂点 $\mathrm{C}$ まで進み、そこで止まる。
- 点 $\mathrm{R}$ は $t=2$ 秒に点 $\mathrm{I}$ を頂点 $\mathrm{F}$ に向かって出発し、毎秒 $1$ 秒の速さで $\mathrm{BF}$ 上を頂点 $\mathrm{F}$ まで進み、その後は毎秒 $1$ 秒の速さで辺 $\mathrm{BF}$ 上を繰り返し往復する。
$0\le t\le 18$ の間で $\mathrm{B,F,P,Q}$ を頂点とする立体の体積 $V_1$ と、$\mathrm{R,E,F,G,H}$ を頂点とする立体の体積 $V_2$ が等しくなる時は何回あるか?

一気通貫アニメーション
図形の動きと、体積のプロットを確認します。
グラフの交点の個数から、
$V_1=V_2$ となるのは 4回
と分かります。
$V_1$ を求める
青の立体 $V_1$ は、高さが $\mathrm{BF}=6$ が一定なので、
$$V_1 = \frac13\cdot\triangle\mathrm{BPQ}\cdot 6=2\cdot\triangle\mathrm{BPQ}$$
$V_2$ を求める
赤の立体 $V_2$ は、底面積が $\mathrm{EFGH}=36$ が一定なので、
$$V_2 = \frac13\cdot 36\cdot\mathrm{RF}=12\cdot\mathrm{RF}$$
グラフで比較
$V_1$, $V_2$ それぞれのグラフを書くと:

よって、
$V_1=V_2$ となるのは 4回
まとめ
点がたくさん動くので体積を求めるのが大変に思えましたが、固定の部分もあるため意外と簡単な形になりました。あとは 計算ミスをしないように注意する ことが大事ですが、具体的ないくつかの点でお試し計算を行うのがコツです。実際この問題の(1)も、$4$ 秒後の青の立体の体積を具体的に求めさせるものでした。
時間変動する立体の体積を求める例としては下記記事の 問題3 があります。
問題4:立体の切断と平面化
立体の切断はイメージが難しいですが、真横から見る・構成面で考える と平面図形として扱えるようになります。
図は、
- 正方形 $\mathrm{ABCD}$ を底面とする1辺の長さが $6\mathrm{cm}$ の正四角すい。
- $\mathrm{E}$ は $\mathrm{CA}$ と $\mathrm{DB}$ の交点。
- $\mathrm{F}$ は線分 $\mathrm{OE}$ の中点。
台形 $\mathrm{GHAB}$ の面積を求めよ。

一気通貫アニメーション
まずは切断面のイメージをアニメーションで確認しましょう。
切断面は確かに台形です。
真横から見る
真横にします。
点 $\mathrm{G}$ は $\mathrm{OC}$ を3等分
$\mathrm{F}$ を通る条件から、$\mathrm{G}$ は $\mathrm{OC}$ を3等分します。これは下記のこの部分と同じです。

3等分なので $\mathrm{GH}=2$
今度は $\mathrm{GH}$ 側の正三角形を眺めると、$\mathrm{G}$, $\mathrm{H}$ は辺 $\mathrm{OC}$, $\mathrm{OD}$ を3等分しているので、
$$\mathrm{GH}=2$$

3等分から他にも分かってくる
今度は $\mathrm{OBC}$ の正三角形を眺めると、$\mathrm{G}$ は $\mathrm{OC}$ を3等分しているから、
$$\mathrm{CG}=4$$
すると三平方の定理より、
\[\mathrm{GJ}^2=4^2-2^2=12\\\therefore\mathrm{GJ}=\sqrt{12}\]
するとさらに三平方の定理より、
\[\mathrm{BG}^2=4^2+\sqrt{12}^2=28\\\therefore\mathrm{BG}=\sqrt{28}\]

台形の形が定まる
$\mathrm{GH}=2$, $\mathrm{BG}=\sqrt{28}$ から台形の形は下記のようになります。

$\triangle\mathrm{GKB}$ に三平方の定理を適用して、
\[\mathrm{GH}^2=\sqrt{28}^2-2^2=24\\\therefore\mathrm{GH}=\sqrt{24}=2\sqrt{6}\]

面積が求まる
よって求める面積 $S$ は、
$$S=(2+6)\times2\sqrt{6}\div 2=8\sqrt{6}$$
まとめ
立体は 平面に落とし込む と理解しやすくなります。切断面を考える、真横から見る、構成面で考える、などです。立体の切断は下記の記事で典型的な図形を扱っているので、それで慣れてください。
全体まとめ
愛知県26年度の難しめの4問を扱いましたが、どの問題も本質は基本的な発想にあります。
- 面積は「三角形分割」や「等積変形」でシンプルに
- 角の二等分線は「錯角 → 二等辺三角形」に注意
- 動点は「グラフ化」で見通しが立つ
- 立体は「平面に落とし込む」と急にやさしくなる
難しい問題を通して基本に立ち返る練習は、発想の引き出しを豊かにし、入試本番での対応力を高めます。
やりっぱなしにせず、今回触れたワザを基礎問題でもう一度確認して、確かな理解につなげてください。








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