先日たまたま中学1年生の授業を観る機会がありました。そのときこの話題をしており、黒板には(敢えて惑わすように)、
表表、表裏、裏裏
と書いてあり、それぞれの確率を当てさせるものでした。「表裏」と書いてあるのが惑わす書き方ではあるのですが、これは口頭説明を加え「表裏1回ずつ」という意味で書いています。
先生は生徒に考える時間を与え、生徒は周りの人と相談を始めます。そして、ほどなくして回答タイム。「表表が」「1/3だと思う人ー」「1/4だと思う人ー」、といった具合に。少なからず1/3の人気がありました。中には「表裏の方が少し出る確率が高いと思う」と鋭い意見かと思いきや、「だから50.1%!!」。
答えはもちろん、「表表」「裏裏」が1/4で、「表裏(1回ずつ)」が1/2なのですが、これをここでは樹形図を用いずに直感的に理解することを目的にします。
直感的に理解:実際に賭けをしている気持ちになる
例えば、次のようなシチュエーションを考えます。
コイントスの賭けをする。相手が今からコインを2回投げる。
① 表表
② 表裏一回ずつ
③ 裏裏
の選択肢があり、当たれば1000円もらえるという。あなたはどれに賭けるか?
タダでこんなおいしい賭けができる訳が無い、というような突っ込みは無しにして、あなたなら①②③のどれに賭けますか?
①に賭ける
①に賭けた場合は、まず相手が1回目のコインを投げる際、
表出ろー
と祈ることになります。ここで表が出なければゲームオーバーなのですから。
そして運よく表が出たとします。そうすると、2回目のコイン投げに移りますが、その際もまた、
表出ろー
と祈ることになります。
表が出る確率は $\displaystyle\frac{1}{2}$ なので、 $\displaystyle\frac{1}{2}$ のドキドキを2回行っていることになります。これを式では
$$\frac{1}{2}\times\frac{1}{2}$$
で計算します。
②に賭ける
このとき、相手が1回目のコインを投げる際にあなたはどちらを祈るでしょうか?表ですか?裏ですか?
どちらでもいいやー
という気分になりませんか? 1回目にどちらが出たにせよ、2回目でそれとは異なる方が出ればよいだけなので。
つまり、ドキドキするのは2回目に投げる方だけです。1回目はドキドキしません。これを式では
$$1\times\frac{1}{2}$$
で計算します。1回目はドキドキする必要が無いので、つまりどんな目でもOKなので、確率 $1$ として計算します。
③に賭ける
これは①と同じなので、省略します。
つまり
自分事として考えてみれば、ドキドキする度合いに差があることに気づくでしょう。②が最もドキドキしない、つまりお得であることが分かります。これこそが直感的な理解です。
樹形図なら?
樹形図を書くなら次のようになります。

全部で4つの出方があり、表と裏が1回ずつは2回あるので、その確率は
$$\frac{2}{4}=\frac{1}{2}$$
ということです。
表表と裏裏は、それぞれ1回ずつしかないので、その確率はそれぞれ
$$\frac{1}{4}$$
です。
まとめ
「表裏」が1回ずつ出る確率が $\displaystyle\frac{1}{2}$ であることを直感的に理解しました。数学って、公式を覚えて計算をしまくるのでしょ、と思っている人も多いかもしれませんが、このブログではできるだけ直感的に理解することを目標にしています。その方が楽しいですし、応用も利きます。本質的な理解も生まれやすいです。
もちろん確率の問題は樹形図を書くことが基本ですが、その根底にはこのような直感があると樹形図を書いた後に出てきた答えに正解ならば納得感、誤りなら違和感が生まれ、自分の答えに自信が持てます。
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