二次関数に面積が絡んだ問題は頻出です。面積の部分は平面図形の知識を使って解くため複合的であり、苦手意識を持つ人も多いと思います。しかし特によく出るパターンは限られているため、そのパターンをしっかりと練習することが重要です。その練習も、アニメーションでイメージ化しているため理解が容易で繰り返し楽に復習できます。
ここでは特に頻出するパターンを5つ選びました。そして、全ての前提になる問題としてパターン0を持ってきました。実際の入試ではこのパターン0の問題が出された上でそれぞれのパターンのどれかが出てくるという構図なので、まずはパターン0は必ず正解するようにしましょう。
他のパターンももちろんありますが、ここのパターンを基礎として広げていくことで地に足ついた骨太の学力が身につくことでしょう。
この記事の後は、ぜひこちら↓にも挑戦してください。星光、西大和、成城、奈良大付属の難関校4校の問題を取り上げました。それぞれここで見る5選がどのように使われるのか、よくわかります。
パターン0. すべての始まりはここから
(1) 点 $\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$ の座標を求めよ。
(2) $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を求めよ。

イメージ
(1) 点 $\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$ の座標を求めよ。
解
\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
y = x^2\\
y = x+2
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
より $y$ を消去して、
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c}
x^2=x+2\\
x^2-x-2=0\\
(x-2)(x+1)=0\\
x=-1,\, 2
\end{array}
\end{eqnarray}
$$\therefore\;\mathrm{A}(-1,1),\;\mathrm{B}(2,4)$$

(2) $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を求めよ。
解
\begin{eqnarray}
\triangle\mathrm{OAB} &=& 2\times (1+2)\times\frac{1}{2}\\
&=& 3
\end{eqnarray}

解説
$$\triangle\mathrm{OAB}=\triangle\mathrm{OAC}+\triangle\mathrm{OBC}$$
と分けて考えます。$\mathrm{C}$ の座標が $(0,2)$ であることより $\mathrm{OC}=2$ なので、
\begin{eqnarray}
\triangle\mathrm{OAC} &=& 2\times 1\times\frac{1}{2}\\
\triangle\mathrm{OBC} &=& 2\times 2\times\frac{1}{2}
\end{eqnarray}
です。

よって、
\begin{eqnarray}
\therefore\; \triangle\mathrm{OAB} &=& \triangle\mathrm{OAC}+\triangle\mathrm{OBC}\\
&=& 2\times (1+2)\times\frac{1}{2}
\end{eqnarray}
です。この式をそのまま解釈する絵は↓のようになります。

パターン1. 等積変形
$\triangle\mathrm{OAB}$ と同じ面積になる $y=x^2$ 上の点の座標は?(底辺 $\mathrm{AB}$ はそのまま)

高さが同じなら面積は同じです。頂点を通り底辺に平行な線を引けば、その線上を頂点が動く限り、高さは変わりません。
イメージ
解. 頂点に平行線を引く
求める点は、$y=x^2$ と直線 $y=x$ との交点(#1)及び $y=x+4$ との交点(#2)であるから、
#1. $y=x$ との交点 $\mathrm{P}$
\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
y = x^2\\
y = x
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
より $y$ を消去して、
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c}
x^2 = x\\
x^2-x = 0\\
x(x-1) = 0\\
\therefore\; x=0,1
\end{array}
\end{eqnarray}
より、$x=1$ ($\because x=0$ は点 $\mathrm{O}$)
$$\therefore\;\mathrm{P}(1,1)$$

#2. $y=x+4$ との交点 $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$
\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
y = x^2\\
y = x+4
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
より $y$ を消去して、
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c}
x^2 = x+4\\
x^2-x-4 = 0\\
\therefore\; x=\displaystyle\frac{1\pm\sqrt{5}}{2}
\end{array}
\end{eqnarray}
より、
\begin{eqnarray}
\mathrm{Q}\left(\displaystyle\frac{1-\sqrt{5}}{2},\displaystyle\frac{9-\sqrt{5}}{2}\right)\\
\mathrm{R}\left(\displaystyle\frac{1+\sqrt{5}}{2},\displaystyle\frac{9+\sqrt{5}}{2}\right)
\end{eqnarray}

解説. 底辺と平行に頂点が動く限り、面積は変わらない
言われればその通りですが、この発想はよく使います。こちら↓で基礎がしっかりと身に付きます。
求めにくい面積を求めやすくするためにも使います。下記の記事↓の問題2や問題3でもそのアイデアを使っています。
裏側も忘れないように
裏側は、傾きが同じで切片の差の分だけさらに移動したものです。
この例では $y=x$ と $y=x+2$ の切片の差 $2$ だけさらに上側に移動させて $y=x+4$ です。

パターン2. 面積は高さに比例
$\triangle\mathrm{OAB}$ の面積の半分になる $y=x^2$ 上の $\mathrm{AOB}$ 側の点の座標は?(底辺 $\mathrm{AB}$ はそのまま)

底辺共通なので、面積半分とは、高さが半分です。頂点を通り底辺に平行な線に対して真ん中に平行線を引けば、 高さが半分です。
今度は、$\mathrm{AOB}$ 上の点と限定されているので、裏側は考えなくてよいです。
イメージ
解. 高さの真ん中に平行線を引く
求める点は、$y=x^2$ と直線 $y=x+1$ との交点であるから、
\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
y = x^2\\
y = x+1
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
より $y$ を消去して、
\begin{eqnarray}
\begin{array}
.x^2=x+1\\
x^2-x-1=0\\
x=\displaystyle\frac{1\pm\sqrt{5}}{2}
\end{array}
\end{eqnarray}
よって、
\begin{eqnarray}
\mathrm{Q}\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}, \frac{3-\sqrt{5}}{2}\right)\\
\mathrm{R}\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}, \frac{3+\sqrt{5}}{2}\right)
\end{eqnarray}

パターン3. 非頂点からの面積半分問題 定点編
点 $\mathrm{C}(0,2)$ を通り、$\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を二等分する直線は?

イメージ
解. 等積変形をうまく使う
$\mathrm{OB}$ の中点を $\mathrm{M}$ と置くと $\mathrm{M}(1,2)$ であり、このとき
$\triangle\mathrm{MAB}$ は $\triangle\mathrm{OAB}$ の半分
である。

ここで、点 $\mathrm{A}$ を通り $\mathrm{CM}$ に平行な直線を引き、線分 $\mathrm{OB}$ と交わる点を $\mathrm{P}$ と置くと、
$\triangle\mathrm{ACM}$ の面積 $=$ $\triangle\mathrm{PCM}$ の面積(下図)
なので、
$\triangle\mathrm{PCB}$ の面積は $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積の半分

よって、直線 $\mathrm{CP}$ を求めればよいから、求める直線の式は、
$$y=-2x+2$$

この解き方は下記の記事↓で詳しく解説しています。
また、この解き方のほかに別解を下記の記事↓で解説しています。パターン4,5に出てくるような方法を使っています。
パターン4. 非頂点からの面積半分問題 平行線編
$x$ 軸と平行で、$\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を二等分する直線は?

イメージ
解. 強引に解くしかない
美しい解き方が思い浮かばなかったので、強引に解きます。イメージアニメーションでのメッセージは、直線が決まれば(直線を決めれば)面積は決まる、ということです。
解
$y=1$ と $\mathrm{OB}$ の交点を $\mathrm{P}$ と置くと、
明らかに $\triangle\mathrm{OAP}<\triangle\mathrm{BAP}$ より、直線 $y=k$ は $y=1$ より上であり、かつ点 $\mathrm{B}\; (y=4)$ よりも下であるから、
$$1<k<4$$
である。従って、$y=k\;(1<k<4)$ と $\mathrm{AB}$, $\mathrm{OB}$ の交点 $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ の座標は
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c}
\mathrm{Q}(k-2,k)\\
\mathrm{R}(\displaystyle\frac{k}{2},k)
\end{array}
\end{eqnarray}
と置ける。

このとき、
\begin{eqnarray}
\triangle\mathrm{BQR} &=& \left\{\frac{k}{2}-(k-2)\right\}\times(4-k)\times\frac{1}{2}\\
&=& (2-\frac{k}{2})\times (4-k)\times\frac{1}{2}\\
&=& \frac{1}{2}(4-k)\times (4-k)\times\frac{1}{2}\\
&=& \frac{1}{4}(4-k)^2
\end{eqnarray}
これが $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積 $3$ の半分になればよいから、
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c}
\displaystyle\frac{1}{4}(4-k)^2 = \displaystyle\frac{3}{2}\\
(4-k)^2=6\quad (\rightarrow\text{解説1})\\
4-k = \pm\sqrt{6}\\
\therefore\; k=4-\sqrt{6}\quad (\because k<4)\quad (\rightarrow\text{解説2})
\end{array}
\end{eqnarray}
よって、求める直線は、
$$y=4-\sqrt{6}$$
解説1. 計算は工夫しよう(展開しない)
もちろん展開しても解けますが、展開しなくても解けます。展開して解いても、
\begin{eqnarray}
\begin{array}{c}
16-8k+k^2=6\\
k^2-8k+10=0\\
k=4\pm\sqrt{16-10}=4\pm\sqrt{6}
\end{array}
\end{eqnarray}
となり、もちろん同じ結果にはなりますが、展開しない方が楽に解けます。
細かいことではありますが、このような工夫ができるかどうかで計算の速さや正確性がかなり変わります。
解説2. $+$ の方はどうなった?
$+$ の方は図のように $\mathrm{B}$ の上側に三角形を作ることを意味します。もちろんこれは $\triangle\mathrm{OAB}$ を二等分するものではないので不適切です。

この不適切なものを排除するために
$$1<k<4$$
の記述があります。特に、$k<4$ です。
パターン5. 台形の分割
これは直接的には二次関数とは無関係です。無関係ではありますが、パターン0の問題でいろいろ計算させた後、このような問題につながるケースがありますので、二次関数のこのパターンの中に入れました。
原点 $\mathrm{O}$ を通り、台形 $\mathrm{OACD}$ を二等分する直線 $\mathrm{OP}$ の式は?

イメージ
ここでのイメージのメッセージは、直線が決まると面積は決まるという点です。ただ、$\mathrm{OC}$ で分けちゃうと半分ではないので、下側のどこかであるということです。そしていい具合のところで止まりますが、台形の面積を半分にするということなので、どういう状態なのかをなるべく単純に理解することです。ヒントは、台形なので高さ一定です。
実際の入試問題では点 $\mathrm{D}$ も求めさせるところですが、この記事では $\mathrm{D}$ を求めることは本題ではないので省略します。
解. 底辺比 $=$ 面積比
解
$\mathrm{OA}:\mathrm{CD}=6:8$
なので(下記「解説1」参照)、求める点 $\mathrm{P}$ は、
$\mathrm{CD}$ を $1:7$ に分ける点
である(下記「解説2」参照)。よって、
$$\mathrm{P}(-\frac{11}{6},\; -\frac{1}{6})$$
である(下記「解説3」参照)。よって、求める直線 $\mathrm{OP}$ は、
$$y=\frac{1}{11}x$$
解説1. $\mathrm{OA}:\mathrm{CD}=6:8$ について
四角形 $\mathrm{OACD}$ は台形なので、$\mathrm{OA}/\! /\mathrm{CD}$ です。とすると、$\mathrm{OA}$ と $\mathrm{CD}$ の長さの比は、$x$ 座標ないしは $y$ 座標の差の比に等しいです。それは、辺 $\mathrm{OA}$ と辺 $\mathrm{CD}$ を斜辺に持つ直角三角形を考えれば、その両者は相似となることから容易に理解できます。
この場合は $y$ 座標の差を考える方が考えやすく、
$\mathrm{OA}$ の $y$ 座標の差 $=$ $1$
$\mathrm{CD}$ の $y$ 座標の差 $=$ $\displaystyle\frac{4}{3}$
なので、
$\mathrm{OA}:\mathrm{CD}=1:\displaystyle\frac{4}{3}=6:8$
です。
解説2. $\mathrm{CD}$ を $1:7$ に分ける点 について
四角形 $\mathrm{OACD}$ は台形なので、$\triangle\mathrm{OAC}$ と $\triangle\mathrm{CDO}$ の高さは台形の高さであり同じ高さです。
そうすると面積比は底辺比なので、
$\triangle\mathrm{OAC}:\triangle\mathrm{CDO}=6:8$
となります。これを $1:1$ にしたいので、
$8$ の部分を $1:7$ に分ければ
そしてそれを小さい $6$ の方に組み込めば、同じ面積 $7:7$ になります。
解説3. 点 $\mathrm{P}$ の楽な求め方
この場合はまず $y$ 座標から求めた方が楽そうです。なぜなら点 $\mathrm{C}$ の $y$ 座標は $0$ のため、実質 $\mathrm{D}$ の $y$ 座標だけを考えればよいので。そうすると、点 $\mathrm{P}$ は $\mathrm{CD}$ を $1:7$ に分ける点なので、点 $\mathrm{P}$ の $y$ 座標は点 $\mathrm{D}$ の $y$ 座標の $\displaystyle\frac{1}{8}$ になります。よって、
$\mathrm{P}$ の $y$ 座標 $=$ $-\displaystyle\frac{4}{3}\times\displaystyle\frac{1}{8}=-\displaystyle\frac{1}{6}$
と求まります。すると、$x$ 座標は、$\mathrm{CD}$ の $x$ 座標の差である
$$-\frac{2}{3}-(-2)=\frac{4}{3}$$
の $\displaystyle\frac{1}{8}$ だけ $x$ 軸に沿って点 $\mathrm{C}$ から戻ればよいので、
点 $\mathrm{P}$ の $x$ 座標 $=$ $-2+\displaystyle\frac{4}{3}\times\displaystyle\frac{1}{8}=-\displaystyle\frac{11}{6}$
と求まります。
まとめ
二次関数の面積問題を見てきました。この分野は入試で頻出です。中でもパターン0はライバルも解いてくる問題なので確実に解けるようにしましょう。それ以降の5パターンで差がついてくると思います。
実際の入試問題の例は↓の記事にまとめましたので、トライしてみてください。








コメント