【平面図形:相似】ちょうちょ型の構造を見抜く3つの基本パターン

中学数学

図形の問題で「どこを見ればいいのか分からない…」という声をよく聞きます。特に蝶々型の相似は、形が複雑に見えるせいで、隠れた構造に気づけず手が止まってしまう代表的なテーマです。

しかし、一度コツをつかめば、蝶々型はむしろ“最も見抜きやすい相似”になります。このページでは、基本形 → 応用形 → 補助線の3ステップで、蝶々型を確実に見抜く力を身につけていきます。

まずは、もっとも基本的な蝶々型から確認していきましょう。

問題設定1 初級:蝶々型の基本形

蝶々型は、図形が苦手な人でも「見抜けるようになれば一気に楽になる」代表的な相似パターンです。まずは最も基本的な形で、どこに相似が潜んでいるのかを丁寧に確認していきます。

問題

$x$, $y$, $z$ を求めよ。

この図形には、典型的な蝶々型の相似が3つ隠れています。対応する角が向かい合う形になっているため、次の3組が相似になります。

\[ \triangle \mathrm{PAB} \unicode[sans-serif]{x223D} \triangle \mathrm{PCD}\\ \triangle \mathrm{CAB} \unicode[sans-serif]{x223D} \triangle \mathrm{CPQ}\\ \triangle \mathrm{BDC} \unicode[sans-serif]{x223D} \triangle \mathrm{BPQ} \]

これらの相似比を使って、順番に $x$, $y$, $z$ を求めていきます。

イメージ

まず、$\triangle \mathrm{PAB} \unicode[sans-serif]{x223D} \triangle \mathrm{PCD}$ に注目します。図より、

$$\mathrm{AB} : \mathrm{CD} = 3 : 6 = 1 : 2$$

相似より、対応する辺の比も同じなので、

$$\mathrm{PA} : \mathrm{PC} = 1 : 2$$

よって、点 $\mathrm{P}$ は $\mathrm{AC}$ を $1:2$ に内分していることが分かります。

これと $\triangle \mathrm{CPQ} \unicode[sans-serif]{x223D} \triangle \mathrm{CAB}$ より、対応する辺の比も $1:2$ になるので、

$$\mathrm{BQ}:\mathrm{QC}=x:y=1:2$$

また、

$$\mathrm{BC}=x + y = 9$$

なので、

$$x = 3,\; y = 6$$

さらに、$\mathrm{CP} : \mathrm{CA} = 2 : 3$ なので、

$$\mathrm{CP} : \mathrm{CA} = 2 : 3 = z : 3$$

$$\therefore\; z = 2$$

解説:調和平均という美しい関係

$z=2$ を求める過程には、実は「調和平均」という美しい関係が隠れています。

$z = \displaystyle\frac{\text{積}}{\text{和}}$

つまり、

$$z = \frac{3 \times 6}{3 + 6} = \frac{18}{9} = 2$$

一般化して $3 \rightarrow a$, $6 \rightarrow b$ とすると、

$$z = \frac{ab}{a + b}$$

これは $a$ と $b$ の調和平均と呼ばれる値です。図形の中に “もう一つの平均” が自然に現れるのは、とても美しい現象です。

問題設定2 初中級:蝶々型の応用形

この図形は一見すると「問題設定1」とは違う形に見えます。しかし、図の中に同じ構造が隠れていることに気づけると、一気に解きやすくなります。蝶々型は “見た目に惑わされないこと” が大切です。

問題

$x$, $y$, $z$ を求めよ。四角形 $\mathrm{ABCD}$ は平行四辺形である。

見た目に騙されないように

平行四辺形という殻に隠れていますが、

$$\mathrm{MB} = 3$$

であることに気づけば、構造は「問題設定1」と全く同じです。

「問題設定1」と同じ構造なので、対応する比も同じになります。

$$x = 3,\quad y = 6,\quad z = 2$$

見た目が変わっても、骨格が同じであれば同じ比が成り立つという良い例です。

問題設定3 中級:補助線を入れたらすぐ解ける

この問題は、補助線を1本入れるだけで一気に構造が見えるタイプです。蝶々型の相似が“隠れている”典型例なので、補助線の入れ方と理由を丁寧に確認していきます。

問題

?を求めよ。

イメージ

まず、$\mathrm{AD}$ を結びます。この1本の補助線で、図の中に相似な三角形が現れます。

$$\triangle \mathrm{ADE} \unicode[sans-serif]{x223D} \triangle \mathrm{GFE}$$

図より、対応する辺の比は

$$\mathrm{AD} : \mathrm{GF} = 3 : 1 = 6:2$$

$\mathrm{AD}=6$ より、

$$\mathrm{GF} = 2$$

別解:問題設定1と同じ構造で考える

補助線が思いつかなかった場合でも、「問題設定1」と同じ発想で解くことができます。

$\mathrm{FI}=x$, $\mathrm{IG}=y$ とおくと、対応する辺の比より

$$3x + 3y = 6$$

つまり、

$$x + y = 2$$

これは求めたい $\mathrm{FG}$ そのものなので、答えは $2$ です。

まとめ

蝶々型の相似を見抜く3つのパターンを確認しました。図形が苦手な人の多くは、実は「隠れた構造」に気づけていないだけです。構造さえ見えるようになれば、図形問題は一気にパズルのように楽しくなります。

このシリーズでは、教科書的な解法だけでなく、発想の引き出しを増やすことを大切にしています。見た目に惑わされず、補助線や相似比の視点を持つことで、問題の“骨格”が自然と見えるようになります。

次は、入試レベルの問題で蝶々型の相似をさらに深めていきましょう。

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