割り算の本質は一つあたりを求めることです。そのために逆数を掛けています。その説明図がサムネの絵ですが、ここではそのことを感覚的につかむ考え方を述べていきます。
感覚的につかむ考え方
渋滞看板の例
先日高速道路を走行していたところ、この先渋滞の案内がありました。次のような文言です。
〇〇から△△までの間渋滞 $6\mathrm{km}$ $15$分
このような表示から時速を求めることで、分数の割り算が逆数を掛けることであることを感覚的につかむ練習、というか習慣をつけることができます。その習慣をつけることができるセンスの良い時速の求め方は、
$$6\times 4=24\tag{1}\label{p1670eq1-1}$$
です。時速 $24 \mathrm{km}$ というのが答えです。
あれ、なんで掛け算なの?速さって、
速さ=距離÷時間
じゃなかったっけ?と思った方、それも正解です。その考え方の場合、$15$ 分は $\displaystyle\frac{1}{4}$ 時間なので、
$$6\div\frac{1}{4}=24\tag{2}\label{p1670eq1-2}$$
という計算になります。
\eqref{p1670eq1-1}と\eqref{p1670eq1-2}の答えはどちらも $24$ であり同じです。そして、それぞれ逆数での掛け算・割り算になっています。掛け算で求めている\eqref{p1670eq1-1}の考え方とはどのようなものでしょうか。次の節で考えます。
割り算の本質は一つ当たりを求めること
式\eqref{p1670eq1-1}はなぜ $4$ を掛けているのでしょうか。それは、
$15$ 分に $4$ を掛けることで $1$ 時間になるから
です。絵で無理やり(?)表現すると次のようです。

無理やりと言ったのは、絵で表現するまでもなく当たり前すぎるからですが、この考え方がこの後の「しっかりと理解」につながります。
つまり、求めたいのは「$1$ 時間で何 $\mathrm{km}$ 進みますか」ということなので、$4$ を掛けて $1$ 時間にしています。
割り算の本質は一つあたりを求めることです。
少し横道にそれますが、例えば、$6$ 個のクッキーがあったとしてそれを $3$ 人で分ければ一人あたり $2$ 個です。
$$6\div 3=2$$
という計算をしますが、$\div 3$ をすることにより、一人当たりを求めています。
同じように速さとは単位時間当たりに進む距離です。$1$ 時間当たりに進む距離であったり、$1$ 分当たりに進む距離でったり、$1$ 秒あたりに進む距離であったり、です。だから時間で割るのです。
またまた少し横道にそれますが、速さの単位は $\mathrm{[km/h]}$ と書きます。$\mathrm{km}$ (距離)を $\mathrm{h}$ (時間)で割る(/)という意味です。「/」の記号は分数と思ってもよいです。$\displaystyle\frac{\mathrm{km(距離)}}{\mathrm{h(時間)}}$ です。
さて、本題に戻って、距離を時間で割ったものが速さであり、
$$6\div\frac{1}{4}=24$$
ですが、$6\div\displaystyle\frac{1}{4}$ とは 「$\displaystyle\frac{1}{4}$ 当たりで $6$」 のものを 「$1$ 当たり」に換算している、ということです。このことはつまり、
$$6\times4=24$$
と同じであることが感覚的に理解できると思います。
このような考え方を習慣的に行っていくことで、割り算が逆数を掛けることで求まることが感覚的に分かってくるようになります。
もう少ししっかりと逆数を掛ける理由を考える
給料の皮算用の例:冒頭サムネの図
割り算とは1当たりを求めることでした。ここでは次の問題を例に考えます。
$$6\div\frac{3}{4}$$
この計算は例えば、次のような文章題の計算です。
$\displaystyle\frac{3}{4}$ ヵ月で $6$ 万円稼いだ。この調子でバイトをすれば $1$ か月でいくら稼げるか?
絵で考えれば次のようになります。

$\displaystyle\frac{3}{4}$ ヵ月で $6$ 万円稼いだということは、$\displaystyle\frac{1}{4}$ ヵ月では $2$ 万円稼いだことになります。それを $4$ 倍することで $1$ か月あたりになります。
つまり、$1$ か月あたりを出すためにまずは $\displaystyle\frac{1}{4}$ ヵ月当たりを求めています。そのために $\displaystyle\frac{1}{3}$ を掛けています。その後に $4$ 倍することで $1$ か月当たりにしています。結局、
$\displaystyle\times\frac{4}{3}$ 倍
することで $1$ か月あたりが求まります。ほら、逆数を掛けてますね。
このように、$1$ 当たりを出すのが割り算である、ととらえることで逆数を掛けることが理解できます。そのためには冒頭のような簡単な例で感覚を根付かせる習慣づけをするとよいです。
まとめ
割り算の本質は一つあたりを求めることです。そのために逆数を掛けています。それがなぜなのか?それは、まずは 「$1$/〇 当たり」に直してから「一つ当たり」に換算し直しているからです。$1$/〇当たりに直すためにまずは分子で割り、その後に分母を掛けることで最終的に一つあたりを求めているからです。
「給料の皮算用の例」だとまずは
$\displaystyle\frac{1}{4}$ ヵ月当たり
を求めるために分子である $3$ で割り、その後
$1$ か月当たり
を求めるために分母である $4$ を掛けています。
とはいってもやはり、分かったようなわからんような、という感覚になると思います。これを感覚的に理解するためには、
〇〇から△△までの間渋滞 $6\mathrm{km}$ $15$分
のような看板を見た際にはすかさず、
時速に直すと $6\times4=24\mathrm{km}$
と掛け算で計算する習慣をつけるとよいです。
おまけ:高速道路を降りるべきなのか?
さて、
〇〇から△△までの間渋滞 $6\mathrm{km}$ $15$分
という場合、高速道路を降りて下道を走った方が早いでしょうか?
記事を独立させました。続きはこちらをご覧ください↓。
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