直角三角形の三辺が既知で高さを求めるとき、多くの人は相似を使います。しかし、面積を使うと一瞬で求められます。「高さを面積から逆算する」のです。さらに、円を発想することで楽に求められる長さもあります。
そして今回の大事なポイントは、「高さを面積から逆算する」という発想が、そのまま空間図形の「高さ=体積÷底面積」に直結することです。2D → 3D のつながりを意識しておくと、後で出てくる空間図形の問題が一気に楽になります。
問題設定:直角頂点から下ろした垂線の足でできる3線分の長さを求める
では、この発想がどのように現れるのか、具体的な問題で見ていきましょう。
$x$, $y$, $z$ を求めよ。

$x$ を求める

解1(初級). 相似:ほとんどの人はこれで解く
この問題を見たらほとんどの人は相似で解くと思います。相似を学習する際の代表的な問題だからです。ただし、実際には次の解2で示す面積の解法の方がずっと楽です。
とはいえ、直角三角形を見たら相似を意識することは大切です。
相似のイメージ

解
$\triangle\mathrm{ABC}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{HAC}$ より、$3:x = 5:4$、したがって $x=\dfrac{12}{5}$。
解2(上級). 面積:一瞬で求まり、空間図形にもつながる
こちらの解法で解く人は「おっ、センスが良いな」と思います。相似よりもずっと楽に解けるからです。ただし、この方法が使えるのは $\triangle\mathrm{ABC}$ が直角三角形のときだけです。(なぜなら、辺の長さの積で面積が出せるのは直角三角形だけだからです。)
三角形の面積を底辺の見方を変えて2通りで表します。面積には常に $\dfrac{1}{2}$ がつくので、$2\triangle\mathrm{ABC}$ を使うとすっきりします。
解
\begin{align}2\triangle\mathrm{ABC}&=3\times4\\&=5x\end{align} より、$x=\dfrac{12}{5}$。
解説
解1と解2は結局同じ
相似で出した式と、面積で出した式は全く同じです。考えやすい方で考えればよいので、面積の方が楽ですね。
面積の方法は空間図形にも直結する
ここが今回の重要ポイントです。2次元では三角形の面積は「面積=$\dfrac12\times$底辺$\times$高さ」、3次元では錐体の体積は「体積=$\dfrac13\times$底面積$\times$高さ」。どちらも「高さは面積(体積)から逆算する」という同じ構造です。
この記事↓の問題3(2)がまさにそれです。
$y$ を求める

解1(初級). 相似:ほとんどの人はこれで解く
$x$ を求めたときと同様ですが、直角三角形を見たら相似を意識することは基本としておきましょう。
相似のイメージ

解
$3:y = 5:3$ より、$y=\dfrac{9}{5}$
解2(上級). 方べきの定理:円とのコラボ
$\triangle \mathrm{AHC}$ は直角三角形です。そこに円が見えれば方べきの定理が使えます。方べきの定理は中三の円の単元で習います。
方べきの定理のイメージ

解
$5y = 3^2$ より、$y=\dfrac{9}{5}$
解説
解1と2は結局同じ
解1と解2は結局同じ式です。方べきの定理は相似を本質に持つため、式の構造は同じになります。ただし、円が見えると一瞬で式が立つので、こちらも強力な引き出しになります。
円とのコラボといえば・・・
円とのコラボといえばこちらも面白い発想です。円とのコラボつながりで理解を深めればより効果的です。
$z$ を求める

解1. 相似
直角三角形を見たら常に相似を意識しましょう。
相似のイメージ

解
$4:z = 5:4$ より、$z=\dfrac{16}{5}$
解2. 方べきの定理
方べきの定理のイメージ

解
$5z = 4^2$ より、$z=\dfrac{16}{5}$
解3(素直). 引き算:$y$ が分かっているならこれで十分
これまでの問題で $y$ が既に分かっていれば、引き算ですぐに求まります。
解
$z = 5-y = 5-\dfrac{9}{5} = \dfrac{16}{5}$
$x$, $y$, $z$ を一度に求める:三平方の定理
$y$ と $z$ には $y+z=5$ という関係があるため、$z$ は予め $5-y$ としておきます。

解1(万能). $\triangle \mathrm{ABC}$ が直角三角形でなくても使える万能薬
これまでの解法(特に面積や方べきの定理)は、$\triangle \mathrm{ABC}$ が直角三角形のときに使えるものでした。それに対して三平方の定理を使う方法は、$\triangle \mathrm{ABC}$ の形状が任意でも使える万能薬です。
解
$\triangle \mathrm{ABH}$ に三平方の定理を適用すると、$x^2+y^2=3^2$
$\triangle \mathrm{ACH}$ に三平方の定理を適用すると、$x^2+(5-y)^2=4^2$
これらを引き算すると $y=\dfrac{9}{5}$ が得られます。
これを $x^2+y^2=3^2$ に代入すると、$x=\dfrac{12}{5}$、$z=\dfrac{16}{5}$ も求まります。
解説
$\triangle \mathrm{ABC}$ が直角三角形のときには、面積や方べきの定理を使うと楽です。直角三角形でないときには三平方の定理を使って求めることになります。
まとめ
直角三角形の相似の基本を押さえ、各種の辺の長さを求めました。その際、相似だけでなく面積や方べきの定理など、複数の視点からの解法にも触れました。
三角形の三辺が既知の場合は、
頂点から下した垂線の足でできる3線分の長さは分かる
特に三角形が直角三角形であった場合には、$x$ を求める際に使った面積の方法、$y$, $z$ を求める際に使った方べきの定理の方法がおすすめです。
そして今回の最大のポイント「高さを面積(体積)から逆算する」という発想は、平面図形から空間図形へとつながる強力な武器になる、ということです。
2D の高さの見方がそのまま 3D に生きる瞬間を、ぜひ体験してみてください。下記↓の問題3(2)がまさにそれです。





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