方べきの定理は高校で扱う内容ですが、中学生でも十分理解できます。実際、円周角の定理と相似を組み合わせれば証明できるので、難しい話ではありません。知っていると図形の見通しが一気によくなり、また発想の引き出しとしても非常に強力です。高校生は定期テストや共通テスト対策としても活用してください。
2024年度の大学入試共通テストでも、この方べきの定理を使う問題が出題されています。記事の最後にリンクを貼っておきます。
方べきの定理とは(3つの形に見えて本質は同じ)
方べきの定理には見た目の異なる3つのパターンがありますが、実はすべて同じ構造です。まずは3つの形を確認します。
① 交点が円内の場合

② 交点が円外の場合

教科書では
$$\mathrm{EC}\times\mathrm{EA}=\mathrm{EB}\times\mathrm{ED}$$
の順で書かれていることが多いですが、ここでは①との統一性を意識してあえて順番を揃えています。後のアニメーションを見ると納得できます。
③ 交点が円外で、片方が接線の場合

接線の交点は2つあるように見えますが、実際には同じ点($\mathrm{B}=\mathrm{D}$)です。ここでも①②との統一性を意識して分けて書いています。
3つを統一的に理解する
ここでは、図を使って相似を確認しながら証明していきます。
アニメーションで確認
3つの公式は見た目が違うだけで、すべて「相似」から導かれる同じ関係式です。まずはアニメーションで全体像をつかみましょう。
ここからは、3つのパターンを順番に「相似」で証明していきます。
① 交点が円内の場合の証明

ポイントは、次の相似を見抜くことです。
$$\triangle\mathrm{EAB}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{EDC}$$
証明
円周角の定理より、
$$\angle\mathrm{BAE}=\angle\mathrm{CDE}$$
対角が等しいので、
$$\angle\mathrm{AEB}=\angle\mathrm{DEC}$$
よって2つの三角形は相似です。反転させると直感的に理解できます。

相似比より、
$$\mathrm{AE}:\mathrm{ED}=\mathrm{BE}:\mathrm{EC}$$
整理すると方べきの定理
$$\mathrm{AE}\times\mathrm{EC}=\mathrm{BE}\times\mathrm{ED}$$
が得られます。
円内なら、どの位置でも同じ関係が成り立ちます。


② 交点が円外の場合の証明

ここでも相似を見抜くのがキモです。
$$\triangle\mathrm{EAD}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{EBC}$$
証明
四角形 $\mathrm{ADBC}$ は円に内接しているので、対角の和は $180^\circ$。
$\angle\mathrm{CAD}$$+$$\angle\mathrm{CBD}$$=180^\circ$
一直線も $180^\circ$ なので、
$\angle\mathrm{CBE}$$+$$\angle\mathrm{CBD}$$=180^\circ$
よって、
$\angle\mathrm{CAD}$$=$$\angle\mathrm{CBE}$
共通角 $\angle\mathrm{E}$ を含むので、2つの三角形は相似です。

③ 交点が円外で、片方が接線の場合の証明

ここでも相似を見抜くのがキモです。
$$\triangle\mathrm{EAD}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{EBC}$$
証明
接弦定理より、
$\angle\mathrm{EBC}=\angle\mathrm{A}$
共通角 $\angle\mathrm{E}$ を含むので、2つの三角形は相似です。

3つは本質的に同じである
ここまで見てきたように、3つの公式はすべて「相似」から導かれる同じ関係式です。もう一度アニメーションを見ると統一性がよく分かります。
練習問題
ここからは、実際に方べきの定理を使ってみましょう。相似でも解けるようにしておくと、発想の幅が広がります。
交点が円内の場合

これは実は、高校入試問題の一部です。2024年度大阪星光学院(直接該当箇所へはこちら)
解

アニメーションで確認:反転相似
相似でも解けるようにしておく
方べきの定理は、円周角の定理と相似の掛け合わせです。相似でも解けるようにしておくと、方べきの定理を忘れたときにも対応できますし、逆に相似で解こうとして計算が重くなりそうなときに方べきの定理を思い出せば計算量が節約できます。
交点が円外で、片方接線の場合

解



アニメーションで一気通貫の理解
まとめ
方べきの定理は、見た目が3種類あるように見えますが、実はすべて円周角の定理と相似から導かれる同じ関係式です。円内・円外・接線のどの場合でも、角度の対応を見抜けば自然と相似が現れ、同じ形の式が得られます。
中学生でも理解できる内容でありながら、高校の定期テストや共通テストでも頻出の重要公式です。相似で解けるようにしておくと、方べきの定理を忘れたときにも対応できますし、逆に方べきの定理を思い出せば計算量を大きく減らすことができます。
入試問題例
方べきの定理は中学内容の延長で理解できますが、実際に高校入試や大学入試でもよく使われます。ここまでの内容がどのように入試で問われているか、具体例を挙げておきます。
高校入試の例:2024年度大阪星光学院(該当箇所へジャンプ)
2025年度四天王寺高校(該当箇所へジャンプ)
大学入試の例:2024年度大学入試共通テスト(該当箇所へジャンプ)




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