【共通テスト過去問:数学】繰り返し復習したい問題5選 2024年度

高校数学

 解いて終わりの過去問ではなく、復習して実力をつける過去問を目指しました。そのため、入試問題をシンプルにして復習しやすくしました。問題はできるだけオリジナルの状態にしつつ、より普遍的な学びにつながるよう改変しています。

IA:第1問 平方根の小数部分

 $\sqrt{13}$ を小数2桁目まで求めたい。次の要領で求めよ。

$2\sqrt{13}$ の小数部分を $a$ と置き、$\displaystyle\frac{1}{a}$ を有理化する。

 問題をシンプルにしたためこれだけでは取り掛かり方が難しいですが、実際の共通テストでは丁寧な誘導がついているため比較的容易に解けると思います。ここはあえてシンプルにして見通しよく、復習しやすくしています。

$$\sqrt{49}<\sqrt{52}<\sqrt{64}$$

より、

$$7<2\sqrt{13}<8$$

よって、

$$a=2\sqrt{13}-7$$

\begin{eqnarray}
\therefore\; \frac{1}{a} &=& \frac{1}{2\sqrt{13}-7}\\
&=& \frac{2\sqrt{13}+7}{52-49}\\
&=& \frac{2\sqrt{13}+7}{3}
\end{eqnarray}

$7<2\sqrt{13}<8$ より、

$$\frac{14}{3}=\frac{7+7}{3}<\frac{1}{a}<\frac{8+7}{3}=\frac{15}{3}$$

$$\therefore\; \frac{3}{15}<a<\frac{3}{14}$$

$a=2\sqrt{13}-7$ なので、

\begin{eqnarray}
7+\frac{3}{15}<&2\sqrt{13}<&7+\frac{3}{14}\\
3.5+0.1<&\sqrt{13}<&3.5+0.107\cdots\\
3.6<&\sqrt{13}<&3.607\cdots
\end{eqnarray}

ゆえに、小数2桁目までは、

$$3.60$$

となる。

IA:第5問 メネラウスの定理、方べきの定理

図の星形は次の条件を満たす。

  • $\mathrm{AP}=2$, $\mathrm{PQ}=3$, $\mathrm{QC}=3$
  • $\mathrm{AT}:\mathrm{TS}:\mathrm{SD}=1:1:3$
  • 5点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$, $\mathrm{S}$, $\mathrm{T}$ は同一円周上にある。

このとき、
(1) 他の辺の長さを求めよ。
(2) 3点 $\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$, $\mathrm{C}$ を通る円に対し、点$\mathrm{D}$ はこの円の内側・周上・外側いずれにあるか?

 $\mathrm{AP}$, $\mathrm{PQ}$, $\mathrm{QC}$ は長さが既知です。一方、$\mathrm{AT}$, $\mathrm{TS}$, $\mathrm{SD}$ は比のみ分かっていて長さは不明です。位置関係も不明です。しかし、$\mathrm{AD}$が定まれば $\mathrm{S}$, $\mathrm{T}$ は定まるため、星形は決まります。そして、3つ目の同一円周上にあるという条件により、星形は完全に決まります。そのイメージを次のアニメーションで示します。最後の緑の円は(2)のものです。

(1)

メネラウスの定理により各辺の比を求める

(i) 図のメネラウスの定理より、

$$\mathrm{QR}:\mathrm{RD} = 1:4$$

(i) 図のメネラウスの定理より、

$$\mathrm{SR}:\mathrm{RC} = 1:1$$

(iii) 図のメネラウスの定理より、

$$\mathrm{DB}:\mathrm{BQ} = 8:3$$

(iv) 図のメネラウスの定理より、

$$\mathrm{TP}:\mathrm{PB} = 1:3$$

(v) 図のメネラウスの定理より、

$$\mathrm{BE}:\mathrm{ET} = 3:1$$

(vi) 図のメネラウスの定理より、

$$\mathrm{RS}:\mathrm{SE} = 1:1$$

(i)~(vi)より下図となる。

方べきの定理により各辺の長さを求める

(i) 問題文より、$\mathrm{AP}=2$, $\mathrm{PQ}=3$ と与えられていることに注意して、
図の方べきの定理より、$x=\sqrt{5}$。すなわち、

$$\mathrm{AT}=\sqrt{5},\;\mathrm{TS}=2\sqrt{5},\;\mathrm{SD}=3\sqrt{5}$$

(ii) 図の方べきの定理より、$x=\sqrt{3}$。すなわち、

$$\mathrm{DR}=4\sqrt{3},\;\mathrm{SR}=\sqrt{3},\;\mathrm{QB}=3\sqrt{3}$$

(iii) 図の方べきの定理より、$x=3$。すなわち、

$$\mathrm{CR}=3,\;\mathrm{RS}=3,\;\mathrm{SE}=3$$

(iv) 図の方べきの定理より、$x=\sqrt{3}$。すなわち、

$$\mathrm{BP}=3\sqrt{3},\;\mathrm{PT}=\sqrt{3},\;\mathrm{TE}=2\sqrt{3}$$

(i)~(iV)より下図となる。

(2)

方べきの定理を利用して円の内か外かを判断する

$$\mathrm{AQ}\times\mathrm{QC}<\mathrm{BQ}\times\mathrm{QD}$$

より、点 $\mathrm{D}$ は円の外側にある。

IIB:第1問(2) 整式の割り算

 $x$ の整式 $P(x)$ を $x$ の2次式 $S(x)$ で割る。

(1) 方程式 $S(x)=0$ が異なる二つの解 $\alpha$, $\beta$ を持つとき、

$P(x)$ を $S(x)$ で割った余りが定数 $\iff$ $P(\alpha)=P(\beta)$

を示せ。

(2) $P(x)=x^{10}-2x^9-px^2-5x$ を $S(x)=x^2-x-2$ で割った余りが定数となるとき、$p$ の値と余りを求めよ。

 (1)では同値を示すため、$\implies$ と $\impliedby$ の両方を示す必要があります。

 (2)では $x^{10}$ や $x^9$ を計算させるのかい、とドキッとしますが、計算しなくてもよくなっています。出題者の親切心がうれしいです。

(1)

題意より、$\alpha\ne\beta$ であり、$S(\alpha)=S(\beta)=0$ である。

(i) $P(x)$ を $S(x)$ で割った余りが定数 $k$ であるとき、

$P(x)$ を $S(x)$ で割った商を $T(x)$ と置くと、

$$P(x)=S(x)T(x)+k$$

と書ける。

$S(\alpha)=S(\beta)=0$ に注意すると、

\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
P(\alpha) &=& S(\alpha)T(\alpha)+k\\
&=&k\\
P(\beta) &=& S(\beta)T(\beta)+k\\
&=&k
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

$$\therefore\; P(\alpha)=P(\beta)$$

(ii) 逆に $P(\alpha)=P(\beta)$ であるとき、

余りは高々 $x$ の1次式なので、

$$P(x)=S(x)T(x)+mx+n$$

と書ける。よって、

\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
P(\alpha) &=& S(\alpha)T(\alpha)+m\alpha+n\\
&=&m\alpha+n\\
P(\beta) &=& S(\beta)T(\beta)+m\beta+n\\
&=&m\beta+n
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

$P(\alpha)=P(\beta)$ より、
$$m\alpha+n=m\beta+n$$
すなわち、

$$m(\alpha -\beta)=0$$

$\alpha\ne\beta$ より、
$$m=0$$

すなわち、余りは定数となる。

(2)

 $S(x)=(x-2)(x+1)$ より、$S(x)=0$ の解は $x=2$, $-1$。

\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
P(2) &=& \cancel{2^{10}}\cancel{-2\cdot 2^9}-p\cdot 2^2-5\cdot 2\\
&=& -4p-10\\
P(-1) &=& (-1)^{10}-2(-1)^9-p(-1)^2-5(-1)\\
&=& -p+8
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

となるから、(1)より

\begin{eqnarray}
-4p-10&=&-p+8\\
\therefore\; p&=&-6
\end{eqnarray}

このときの余りは、

$$P(2)=p(-1)=14$$

IIB:第2問 微分法・積分法

 $m$ は $m>1$ を満たす定数とし、
$$f(x)=3(x-1)(x-m)$$
$$S(x)=\displaystyle\int_0^xf(t)\, dt$$
とする。そして、

  • $S_1$: $0\le x\le 1$ の範囲で、関数 $y=f(x)$ のグラフと $x$ 軸、$y$ 軸で囲まれた図形の面積
  • $S_2$: $1\le x\le m$ の範囲で、関数 $y=f(x)$ のグラフと $x$ 軸、$y$ 軸で囲まれた図形の面積

とするとき、

$S_1=S_2$ となるときの $m$ の値を求め、$y=f(x)$, $y=S(x)$ のグラフを書け。

 $S(x)$ は単に $y=f(x)$ の $0\le x\le x$ までの面積を表しているに過ぎないです。元の関数 $f(x)$ とそれを積分した関数 $S(x)$ の関係をイメージできれば難しくないです。この問題の場合、次のようなイメージになります。

当然、$y=f(x)$ が $0$ となるところで $y=S(x)$ は極値を持ち、$S_1=S_2$ とは、$y=S(x)$ の値が $0$ になるところです。
実際の共通テストは誘導形式でもう少し長いですが、このイメージが持てれば全く難しくないので、このイメージを持つ訓練をするのが良いです。

 $S_1=S_2$ のとき $S(m)=0$ であるから、

\begin{eqnarray}
S(m) &=& \int_0^m f(t)\, dt=3\int_0^m \left\{t^2-(m+1)t+m\right\}\, dt\\
&=& 3\left[\frac{1}{3}t^3-\frac{1}{2}(m+1)t^2+mt\right]_0^m\\
&=& \frac{1}{2}m^2(3-m)\\
&=& 0
\end{eqnarray}

$m>1$ より、
$$m=3$$

このときのグラフは下図。

IIB:第5問 ベクトル方程式

 点Oを原点とする座標空間に4点 A$(2,7,-1)$, B$(3,6,0)$, C$(-8,10,-3)$, D$(-9,8,-4)$ がある。$\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$ を通る直線を $l_1$ とし点 $\mathrm{P}$ がこの上を、$\mathrm{C}$, $\mathrm{D}$ を通る直線を $l_2$ とし点 $\mathrm{Q}$ がこの上を動く。このとき、線分 $\mathrm{PQ}$ の長さが最小になるときの $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$ の座標を求めよ。

 ねじれの位置にある2直線の距離を求める問題です。$\mathrm{PQ}$ が彷徨さまようイメージがこちら。

$\mathrm{PQ}$ の長さが最小になるときというのは、

\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=0\\
\overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=0
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

ですが、その計算をする際、ぎりぎりまで成分に直さずに行った方が楽です。こういった工夫を復習しましょう。

\begin{eqnarray}
\left\{\begin{array}{l}
l_1:\quad\overrightarrow{\mathrm{OP}} &=& \overrightarrow{\mathrm{OA}} + s\overrightarrow{\mathrm{AB}}\tag{1}\label{p3175eq1}\\
l_2:\quad\overrightarrow{\mathrm{OQ}} &=& \overrightarrow{\mathrm{OC}} + t\overrightarrow{\mathrm{CD}}\\
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

と書けるから、

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{PQ}} &=& \overrightarrow{\mathrm{OQ}} – \overrightarrow{\mathrm{OP}}\\
&=& (\overrightarrow{\mathrm{OC}}+t\overrightarrow{\mathrm{CD}})-(\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AB}})\\
&=& \overrightarrow{\mathrm{AC}}-s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{CD}}
\end{eqnarray}

となる。$\mathrm{PQ}$ の長さが最小のとき、

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}} &=& 0\\
\overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}} &=& 0
\end{eqnarray}

であるが、ここで、

\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}} &=& \begin{pmatrix}1\\-1\\1\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}-10\\3\\-2\end{pmatrix} = -10-3-2 = -15\\
\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}} &=& \begin{pmatrix}1\\-1\\1\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}1\\-1\\1\end{pmatrix} = 1+1+1 = 3\\
\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}} &=& \begin{pmatrix}1\\-1\\1\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}-1\\-2\\-1\end{pmatrix} = -1+2-1 = 0\\
\overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}} &=& \begin{pmatrix}-1\\-2\\-1\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}-10\\3\\-2\end{pmatrix} = 10-6+2 = 6\\
\overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}} &=& \begin{pmatrix}-1\\-2\\-1\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}1\\-1\\1\end{pmatrix} = -1+2-1 = 0\\
\overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}} &=& \begin{pmatrix}-1\\-2\\-1\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}-1\\-2\\-1\end{pmatrix} = 1+4+1 = 6\\
\end{eqnarray}

であることに注意すると、

$$\overrightarrow{\mathrm{PQ}} = \overrightarrow{\mathrm{AC}}-s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{CD}}$$

なので、

\begin{eqnarray}
0 = \overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}} &=& \overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\left(\overrightarrow{\mathrm{AC}}-s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right)\\
&=& \overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}} – s\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}} + t\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}} \\
&=& -15-3s\\
0 = \overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PQ}} &=& \overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\left(\overrightarrow{\mathrm{AC}}-s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right)\\
&=& \overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}} – s\overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}} + t\overrightarrow{\mathrm{CD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}} \\
&=& 6+6t
\end{eqnarray}

$$\therefore\; s=-5, \; t=-1$$

ゆえに\eqref{p3175eq1}に $s$, $t$ 及び成分を代入して、

$\mathrm{P}(-3, 12, -6)$
$\mathrm{Q}(-7, 12, -2)$

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