【微分のイメージ増強演習】接線の方程式編

高校数学

曲線上の点から接線を引く

接点の座標が既知

$y=x^3-2x-2$ 上の点で、接点の座標が $x=1$ であるとき、その接線の方程式ともう一つの交点の座標を求めよ。

 直線の方程式は傾きと通る点が分かれば求まります(【直線の式は一行で書ける】直線の式のイメージを動画で理解)。傾きは微分して求めます。通る点は、$y=x^3-2x-2$ 上の $x=1$ の点なので、代入すれば $y$ 座標が分かります。下図のようなイメージです。

 順番に見ていきます。

 $x=1$ と言われているので、まずはそのグラフ上の点を探します。そして、そこにおける接線の傾きを求めます。まず、任意の $x$ 座標における接線の傾きは元の関数 $f(x)=x^3-2x-2$ を微分すればよいので、

$$f^{\prime}(x) = 3x^2-2$$

であり、$x=1$ における接線の傾きは、$x=1$ を代入して、

$$f^{\prime}(1) = 3\cdot 1^2-2 = 1$$

 接線の傾きは $1$ であることが分かりました。

 そして、接点の $y$ 座標は、
\begin{eqnarray}
f(1)&=&1^3-2\cdot 1-2\\
&=&-3
\end{eqnarray}
なので、接線の方程式は、
\begin{eqnarray}
y &=& 1\cdot (x-1)-3\\
&=& x-4
\end{eqnarray}

と求まります。

 そして最後にもう一つの交点の座標を求めますが、それは、青の線と赤の線の連立方程式を解けばよいです。
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x^3-2x-2 \\
y=x-4
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
から $y$ を消去して整理すると、

$$x^3-3x+2=0$$

です。さてここで因数分解をする必要がありますが、できますか?ここで、次のことに着目します。

2つの線は $x=1$ で接しているのだから、$(x-1)^2$ を因数に持つ

このことに気づけば因数分解はすぐです。まず次の形にできます。

$$(x-1)^2(x-□)=0$$

ここで□部分を考えますが、展開した結果の定数項が$+2$になってほしいです。$(x-1)^2$ の定数項は $+1$ なので、それと掛け算して $+2$ になるためには□は $-2$ でなければなりません。つまり、

$$(x-1)^2(x+2)=0$$

と分かります。一応、計算ミスを防ぐために展開をして確かめましょう。因数分解は難しいですが、展開は面倒なだけでやればできます。

 以上より、もう一つの交点の $x$ 座標が $-2$ とわかりましたので、その $y$ 座標は、

  • 青の線に代入: $y=x^3-2x-2=(-2)^3-2(-2)-2=-6$
  • 赤の線に代入: $y=x-4=-2-4=-6$

となり、両者は当然ながら一致します。

[解答]
$f(x)=x^3-2x-2$ と置くと、
$$f^{\prime}(x)=3x^2-2$$
なので、$x=1$ における接線の傾きは、
$$f^{\prime}(1)=3\cdot 1^2-2=1$$
このとき、接点の $y$ 座標は
$$f(1)=1^3-2\cdot 1-2=-3$$
であるから、求める直線の方程式は、
$$y=1(x-1)-3=x-4$$

次にもう一つの交点を求める。
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x^3-2x-2 \\
y=x-4
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
から $y$ を消去して整理すると、
$$x^3-3x+2=0$$
これを因数分解して、
$$(x-1)^2(x+2)=0$$
よって、$x=1$ 以外の解は
$$x=-2$$
このとき、
$$f(-2)=(-2)^3-2(-2)-2=-6$$
よって、求める座標は、
$$(-2,-6)$$

接点の座標が未知

$y=x^3-2x-2$ において、傾きが $1$ である接線の方程式を求めよ。

 これは直前の問題と酷似しているので接線の一つは分かりますよね。$y=x-4$ です。しかしここでは直前の問題がないとして2つの方法で解いていきます。その1は接点が彷徨うイメージで、その2は直線が彷徨うイメージで見てみます。

接点が彷徨う

 この場合は接点が彷徨っているイメージで、傾きが$1$になったところで「ここだ!」という感じです。そして、その「ここだ!」は2か所あることがイメージできると思います。

 順番に見ていきます。

 $y=x^3-2x-2$ を微分した
$$y^{\prime}=3x^2-2$$
は各 $x$ 座標における接線の傾きを与えます。例えば左図のような $x$ では傾き $2.3201$ と出ています。

 つまり、傾きが1になる $x$ 座標を求めるには、
$$y^{\prime}=3x^2-2$$
の $y$ の値が1となる $x$ を求めればよく、左図からはそれが $\pm 1$ であることが分かります。

 接点の $x$ 座標が分かったのであとは接点の座標が既知で見たように解けばよいです。

[解答] $f(x)=x^3-2x-2$ と置くと、$y=f(x)$ の傾きが $1$ となる $x$ 座標は、
$$f^{\prime}(x)=3x^2-2=1$$
より、
$$3x^2-3=0$$
$$3(x-1)(x+1)=0$$
よって、$x=\pm 1$
$x=-1$ のとき、
$$f(-1)=(-1)^3-2\cdot (-1)-2=-1$$
なので、求める直線は、
$$y=1(x+1)-1=x$$
$x=1$ のとき、
$$f(1)=1^3-2\cdot 1-2=-3$$
なので、求める直線は、
$$y=1(x-1)-3=x-4$$

よって、求める接線の方程式は、

\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x \\
y=x-4
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

直線が彷徨う

 この場合は傾き $1$ の線が平面上を彷徨っているイメージで、$y=x^3-2x-2$ に接したところで「ここだ!」という感じです。そして、その「ここだ!」は2か所あることがイメージできると思います。

 順番に見ていきます。

 まず、求める直線は傾きが$1$であるといわれているので、

  • $y=x+a$

と置けます。$a$ が決まれば直線が決まるわけですが、今は $a$ がわからないので、それが「彷徨っている」イメージです。

 そして、彷徨った結果として欲しいのはこの図の状態です。この図の特徴は、

  • 赤の直線が青の曲線に接している

ということです。問題文にそう書いてあるので当たり前ですが。

交点系の特徴を使うには連立方程式です。

\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x^3-2x-2 \\
y=x+a
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
から $y$ を消去して整理すると、

  • $x^3-3x-(a+2)=0$

です。さて、これをどうすればよいでしょうか。この式の意味を今一度理解しましょう。この式の意味は、

$a$ の値を決めれば $x$ について解くことができるが、その解 $x$ とは、赤の直線と青の曲線の交点の $x$ 座標である。

ということです。ここで少しずる●●をしてその意味をさらにかみしめてみましょう。答えの一つはひとつ前の問題から $y=x-4$ であることを知っているので、つまり $a=-4$ なので、それを方程式に入れてみると何が起きるか観察してみます。代入すると、
$$x^3-3x+2=0$$
となり、
$$(x-1)^2(x+2)=0$$
と因数分解ができるのでした。これを解いた時の $x$ の値は確かに

  • 赤の直線と青の曲線の交点の $x$ 座標

ですね。確かに2乗を因数に持ち、接するという情報が得られます。

 このように、$a$ の値を決めれば $x$ について解くことができ、交点の $x$ 座標が得られます。そして、その交点が2乗を因数に持つような点であればよい、ということです。このような問題は【微分のイメージ増強演習】交点の個数編で扱っていて、それに倣えば、

$x^3-3x-(a+2)=0$ の $x$ についての方程式の解は、2つのグラフ
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x^3-3x-2 \\
y=a
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
の交点の $x$ 座標に等しいから、この図より、

  • $a=0$ のとき $x=-1$ で接し、
  • $a=-4$ のとき $x=1$ で接する

ことが分かります。

 この図の気持ちは、【微分のイメージ増強演習】交点の個数編で動画を交えて解説しています。

[解答] 接線が $1$ である直線は
$$y=x+a$$
と置け、それが
$$y=x^3-2x-2$$
と重解を持つことが条件なので、両式から $y$ を消去した式
$$x^3-3x-(a+2)=0$$
が重解を持てばよい。

次に、この式が重解を持つためには、2つのグラフ
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x^3-3x-2 \\
y=a
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
が重解を持てばよく、それは図より、
$a=0$ のとき、$x=-1$
$a=-4$ のとき、$x=1$
である。

よって、求める接線の方程式は、

\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x \\
y=x-4
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

曲線外の点から接線を引く

$y=x^3-2x-2$ の接線が点 $(1,1)$ を通るとき、接線の方程式を求めよ。

 今度は、$y=x^3-2x-2$ 上の接線が彷徨っている感じです。彷徨って、点 $(1,1)$ を通ったところで「ここだ!」という感じです。

 順番に見ていきます。

まず、彷徨う接線の方程式を記述します。左図のように接点の $x$ 座標を $a$ と置くと、接点の座標は
$(a,\, a^3-2a-2)$

一方、この接点における接線の傾きは、
$$f(x)=x^3-2x-2$$
を微分した
$$f^{\prime}(x)=3x^2-2$$
に$x=a$ を代入して、
$$f^{\prime}(a)=3a^2-2$$
よって、接線の方程式は、
$$y=(3a^2-2)(x-a)+a^3-2a-2$$

その接線が彷徨った結果、点$(1,\,1)$ と出会います。点$(1,\,1)$ を通るということから接線の式に代入して成り立つので、

$$1=(3a^2-2)(1-a)+a^3-2a-2$$
となります。整理すると、
$$2a^3-3a^2+5=0$$
ですが、少しずる●●をすると、図より $a=-1$ を解に持つことが分かります。実際、$a=-1$ を代入すればこの方程式は成り立ちますね。
 従ってこの式は $(a+1)$ を因数に持つことが分かりますから、次のように因数分解ができます。
$$(a+1)(2a^2-5a+5)=0$$

 ここで、$a=-1$ を解に持つことは分かりましたが、$2a^2-5a+5=0$ の方も見なくてはなりません。しかしこちらの方は、動画のイメージから解を持たないはずですよね。なぜなら、$a$ をスイープさせたとき、$(1,\,1)$にぶつかるような $a$ は一つしかなかったからです。なので、ここではこの $2a^2-5a+5=0$ が解を持たないことを言いたいです。解を持たないことを言いたい場合には、判別式 $D$ が負であることを言えばよいですから、
$$D=5^2-4\cdot 2\cdot 5=25-40<0$$
となり、解を持たないことが言えました。従って、
$$a=-1$$
のときのみが点 $(1,\,1)$ を通るための接点であることが分かり、その方程式は、
\begin{eqnarray}
y&=&(3\cdot 1^2-2)(x+1)+(-1)^3-2\cdot(-1)-2 \\
&=&x
\end{eqnarray}
と、求まります。

[解答] 接点の $x$ 座標を $a$ と置くと接線の方程式は、
$$y=(3a^2-2)(x-a)+a^3-2a-2\tag{1}\label{eq1}$$
となるが、これが点 $(1,\,1)$ を通ることから、
$$1=(3a^2-2)(1-a)+a^3-2a-2$$
が成り立つ。この式を整理して因数分解すると、
$$(a+1)(2a^2-5a+5)=0$$
となる。ここで、$2a^2-5a+5=0$ の判別式を $D$ と置くと、
$$D=5^2-4\cdot 2\cdot 5=25-40<0$$
であるから、$a$ の解はただ一つ、
$$a=-1$$
であり、従って求める接線の方程式は、$a=-1$ を\eqref{eq1}に代入して、
$$y=x$$
を得る。

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