ここでは関数を描画してその交点の個数を数える問題を考えます。これは、方程式の解の個数を求める問題に応用ができます。
関数と定数の交点の個数:できればここに帰着させたい基本形
$y=x^3-3x-2$ と $y=a$ の交点の個数を求めよ。
前半の3次関数の方はきっちり決まっているのでグラフは書けます。後半の $y=a$ は $a$ が決まればグラフが決まります。それも、横まっすぐな線ですよね。$a$ の値をいろいろ変えてみてその交点の数を調べるので、次のようなイメージです。
順番に見ていきます。

まず、$a=2$ を起点に考えてみましょう。このときグラフは左図のようになりますので、交点の数はひとつです。
$a$ の値を小さくしてみましょう。

$a$ の値を $0$ まで小さくしたとき、左図のようになります。このとき交点の数はふたつです。
さらに $a$ の値を小さくしてみましょう。

左の図は $a=-1.5$ のときのものですが、このとき交点の数は三つです。
さらに $a$ の値を小さくしてみましょう。

左の図は $a=-4$ のときのものです。このとき交点の数は再びふたつです。
さらに $a$ の値を小さくしてみましょう。

もうこれより下側では永遠に交点の数はひとつです。
以上より、
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
a<-4 のとき、1個\\
a=-4 のとき、2個\\
-4<a<0 のとき、3個\\
a=0 のとき、2個\\
a>0 のとき、1個
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
となります。
[解答]

$y=x^3-3x-2$ と $y=a$ のグラフを書くと図のようになるから、
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
a<-4 のとき、1個\\
a=-4 のとき、2個\\
-4<a<0 のとき、3個\\
a=0 のとき、2個\\
a>0 のとき、1個
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
関数と関数の交点の個数:基本形に帰着させる変形をする
$y=x^3-2x-2$ と $y=x+a$ の交点の個数を求めよ。
この問題は、勘のいい人は先ほどの問題と全く同じであることに気づくでしょう。それに気づけば解答は次のように書けます。解答の次では問題文そのものを動画でチェックしてみます。
[解答]
$y=x^3-2x-2$ と $y=x+a$ の交点は、
$$x^3-2x-2=x+a$$
の解であるが、移項して整理すると
$$x^3-3x-2=a$$
なので、次の2つのグラフの交点である。
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x^3-3x-2 \\
y=a
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}

これらのグラフを書いた左図より接点の個数は、
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
a<-4 のとき、1個\\
a=-4 のとき、2個\\
-4<a<0 のとき、3個\\
a=0 のとき、2個\\
a>0 のとき、1個
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
[動画で確認]
ここでは、問題文の通りに、
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
y=x^3-2x-2\\
y=x+a
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
で $a$ を動かしてみます。
このときも先ほどの解答と同じ $a=0,\,-4$ が導かれています。もし、このイメージそのままに解答を作るなら次のようになります。

まず、$y=x^3-2x-2$ 上の点で接線の傾きが$1$となる点を求める。
$f(x)=x^3-2x-2$ と置くと、
$f^{\prime}(x)=3x^2-2$ より、
$3x^2-2=1$
移項して整理すると、
$3(x+1)(x-1)=0$
よって、
$x=-1,\,1$。
$x=-1$ のとき $f(-1)=(-1)^3-2(-1)-2=-1$ なので、この接線の方程式は、
$$y=1(x+1)-1=x$$
つまり、このとき $a=0$。
また同様に、$x=1$ のとき $f(1)=1^3-2\cdot 1-2=-3$ なので、この接線の方程式は、
$$y=1(x-1)-3=x-4$$
つまり、このとき $a=-4$。
ゆえに、図と合わせて、
\begin{eqnarray}
\left\{ \begin{array}{l}
a<-4 のとき、1個\\
a=-4 のとき、2個\\
-4<a<0 のとき、3個\\
a=0 のとき、2個\\
a>0 のとき、1個
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
を得る。
先ほどの解答例よりもずいぶんと難しくなりました。難しくなった理由は、動く方のグラフの形がより複雑だからです。今回のものには傾きがある分だけ複雑でした。イメージさえしっかりと持っていればこのように解くことももちろんできますが、より簡単に解くためには、
動かすグラフはできるだけシンプルにする
のがよいです。
まとめ
2つのグラフの交点の個数を数える問題を考えました。これは、連立方程式の解の個数を数える問題でもあります。実際、このことを利用して、問題をより簡単に解く方法を紹介しました。グラフの交点が連立方程式の解であることは今となっては当たり前だと思いますが、改めて下記の記事↓で説明していますので、良ければこちらもどうぞ。
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