同じ直角三角形が2つそろうと二等辺三角形になる。言われてみれば当然ですが、実際の図では意外と気づきにくいことがあります。たとえば、角の二等分線がそのヒントになっていたり(問題1)、線を延長して合同を見つけることで姿を現したりします(問題2)。
問題2では、線を延長する発想が浮かばず二等辺三角形に気づけないこともあります。しかし、そんなときでも強引に突破できる方法があります(解2:中3で習う三平方の定理を使用)。入試では、必ずしも美しく解く必要はありません。最後の一手として使える解法を持っていると強いのです。
問題1. ’21 成城学園高校
?の面積を求めよ。

図を見ると、まず目につくのが角の二等分線です。入試問題で二等分線が出てきて、さらに底辺が直角なら、同じ直角三角形が2つという構造を疑いましょう。
解1. 高さを使って求める方法
一気通貫アニメーション
まずはアニメーションで全体の流れを確認し、そのあとで手順を追って説明します。
ステップバイステップ解説
角の二等分線によって、三角形の内部に同じ直角三角形が2つ現れます。つまり、$\triangle\mathrm{BAD}$ は二等辺三角形です。したがって、
$$\mathrm{BD}=\mathrm{BA}=14$$

さらに $\mathrm{BC}=20$ なので、$\mathrm{DC}=6$ となります。

$[ここまで解1,2で共通]\tag{★}\label{p3760-1}$
また、$\mathrm{AE}=\mathrm{ED}$ なので、$\mathrm{EF}$ は $\mathrm{DC}$ の半分になります。
$$\mathrm{EF}=\frac{1}{2}\mathrm{DC}=3$$
三角形 $\mathrm{AEF}$ の面積は $9$、底辺 $\mathrm{EF}=3$ なので、高さは $6$ です。
そして $\mathrm{AE}=\mathrm{ED}$ なので、$\triangle\mathrm{EBD}$ の高さも同じく $6$。よって、求める面積は次の通りです。
$$\triangle\mathrm{EDB}=\frac{1}{2}\cdot 14\cdot 6=42$$

解2. 面積比を用いる方法
解イメージ
解
式 (★) までは解1と同じです。
$\triangle\mathrm{AEF}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{ADC}$ で相似比は $1:2$。したがって面積比は $1:4$ となり、
$$\triangle\mathrm{ADC}=36$$

次に、$\triangle\mathrm{ADB}$ と $\triangle\mathrm{ADC}$ は高さが共通なので、面積比は底辺の比になります。
\begin{eqnarray} \triangle\mathrm{ADB}:\triangle\mathrm{ADC} &=& 14:6\\ \triangle\mathrm{ADB}:36 &=& 14:6\\ \therefore\;\triangle\mathrm{ADB} &=& 84 \end{eqnarray}
求めたい $\triangle\mathrm{EBD}$ はその半分なので、
$$\triangle\mathrm{EBD}=42$$

解説1. 二等辺三角形に気づけるかがポイント
鍵となるのは、同じ直角三角形が2つそろうと二等辺三角形になる、ということです。
角の二等分線によって、三角形の内部に同じ直角三角形が2つ現れ、すなわち $\triangle\mathrm{BAD}$ が二等辺三角形であると気づくことです。
解説2. 角の二等分線を見たときの発想
角の二等分線があるときは、その先の角度が何かを確認するのが基本です。
- 直角でなければ線分比を発想
- 直角なら二等辺三角形を発想
さらに、別の角に同じ角度があれば相似や二等辺三角形を、平行線に向かって二等分線が伸びていれば二等辺三角形を発想するのが定石です。今回は直角が絡んでいたため、二等辺三角形の発見につながりました。
関連する典型例は以下の記事で扱っています。
■別の角に同じ角度があれば相似や二等辺三角形を発想


■平行線に向かって二等分線が伸びていれば二等辺三角形を発想
問題2. こうなるといいな、からの発想が大事かも
?の長さを求めよ。

解1. 図形問題らしい解き方
直角三角形が2つそろうと二等辺三角形になる。この発想が頭にあると、「こうなっていればいいな」という見通しが立ちます。ここでは、直角三角形を折り返したときに $\mathrm{EBC}$ が一直線になる状況を想像します。この“希望的観測”があると、線を延長してみようという発想につながります。

解イメージ
解
線を延長する
$\mathrm{CB}$ と $\mathrm{DM}$ の延長線の交点を $\mathrm{E}$ とします。

$\mathrm{DM}=\mathrm{EM}$ ならいいな、と思う
ここで、$\triangle\mathrm{ADM}\equiv\triangle\mathrm{BEM}$ を示します。
まず、問題文より $\mathrm{AM}=\mathrm{BM}$ です。

次に、$\mathrm{AD}/\! /\mathrm{EC}$ より、
$\angle\mathrm{MAD}=\angle\mathrm{MBE}$ が成り立ちます。

さらに、対角の関係から、
$\angle\mathrm{BME}=\angle\mathrm{AMD}$ となります。

合同が示せた
以上より、一辺とその両端の角が等しいため、
$\triangle\mathrm{ADM}\equiv\triangle\mathrm{BEM}$ が成立します。

したがって、$\mathrm{DM}=\mathrm{EM}$。
また、$\mathrm{AD}=\mathrm{BE}=1$ です。

二等辺三角形を発見
$\mathrm{DM}=\mathrm{EM}$ かつ $\angle\mathrm{CMD}=\angle\mathrm{CME}=90^\circ$ より、$\triangle\mathrm{CDE}$ は二等辺三角形です。

$\mathrm{CD}=\mathrm{CE}$ より、長さが求まる
$$\mathrm{CD} = \mathrm{CE} = 5$$
解2. 強引な解き方
図形的な発想が浮かばないときに非常に強力な方法です。計算量は増えますが、確実に答えに到達できます。普段から少しずつ慣れておくと武器になります。
解
点 $\mathrm{C}$ を原点とし、点 $\mathrm{D}$ を $(x,y)$ と置きます。すると、他の点は図のように座標で表せます。

まず、$\triangle\mathrm{CDH}$ に三平方の定理を使うと、
$$\mathrm{CD}^2 = x^2 + y^2 \tag{1}\label{p3760eq1}$$
次に、$\triangle\mathrm{CDM}$ に三平方の定理を使うため、$\mathrm{DM}^2$ と $\mathrm{MC}^2$ を求めます。
\begin{eqnarray} \mathrm{DM}^2 &=& \left(x-\frac{x-5}{2}\right)^2 + \left(y-\frac{y}{2}\right)^2\\ &=& \left(\frac{x+5}{2}\right)^2 + \left(\frac{y}{2}\right)^2\\ \mathrm{MC}^2 &=& \left(\frac{x-5}{2}\right)^2 + \left(\frac{y}{2}\right)^2 \end{eqnarray}
よって、
\begin{eqnarray} \mathrm{CD}^2 &=& \mathrm{DM}^2 + \mathrm{MC}^2\\ &=& \left(\frac{x+5}{2}\right)^2 + \left(\frac{y}{2}\right)^2 + \left(\frac{x-5}{2}\right)^2 + \left(\frac{y}{2}\right)^2\\ &=& \frac{1}{4}\left((x+5)^2 + (x-5)^2 + y^2 + y^2\right)\\ &=& \frac{1}{4}(2x^2 + 50 + 2y^2)\\ &=& \frac{1}{2}(x^2 + y^2 + 25) \tag{2}\label{p3760eq2} \end{eqnarray}
\eqref{p3760eq1} と \eqref{p3760eq2} を等しいと置くと、
\begin{gather} x^2 + y^2 = \frac{1}{2}(x^2 + y^2 + 25)\\ \therefore\; x^2 + y^2 = 25 \tag{3}\label{p3760eq3} \end{gather}
求めたい $\mathrm{CD}^2$ は $x^2 + y^2$ なので、\eqref{p3760eq3} より、
\begin{eqnarray} \mathrm{CD}^2 &=& x^2 + y^2\\ &=& 25\\ \therefore\; \mathrm{CD} &=& 5 \end{eqnarray}
解説. 式 \eqref{p3760eq3} の意味
式 \eqref{p3760eq3} は、「点 $\mathrm{D}$ がどこにあっても、$\mathrm{CD}=5$ を満たす限り条件を満たす図が作れる」ということを示しています。つまり、点 $\mathrm{D}$ の位置は一意に決まらず、円周上のどこにあってもよいということです。
実際、$\mathrm{CD}=5$ を保ったまま点 $\mathrm{D}$ を動かしても、次のように条件を満たす図を描くことができます。

まとめ
直角三角形と二等辺三角形は、実はとても相性のよい図形です。角の二等分線が直角に向かって伸びているとき、あるいは底辺が等しい直角三角形が2つそろっているとき、二等辺三角形が隠れている可能性が高くなります。
今回の2つの問題では、二等辺三角形を見抜く発想、相似による面積比、そして座標と三平方による強引突破という3つのアプローチを扱いました。典型的な構造を知っておくと、新しい問題でも「こうなっていればいいな」という見通しが立ち、図形の読み取りが一段と楽になります。
アニメーションも活用しながら、図形のイメージを積み重ねていきましょう。




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