ベクトル方程式が立てられれば、軌跡方程式($ax+by+cz=d$)へは一発変換できます。そのカギになるのが、法線ベクトルとの内積です。そして法線ベクトルを一瞬で求める“裏技”が 外積 です。高校ではほとんど扱われませんが、知っていると空間ベクトルの見通しが一気に良くなります。
問題
3点 $\mathrm{A}(3,0,3)$, $\mathrm{B}(2,2,2)$, $\mathrm{C}(1,1,4)$ が張る平面 $\alpha$ の方程式を求めよ。
準備
平面 $\alpha$ は、2つの一次独立なベクトル $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$, $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ で張られます。
\[ \overrightarrow{\mathrm{AB}}=\begin{pmatrix}-1\\2\\-1\end{pmatrix},\quad \overrightarrow{\mathrm{AC}}=\begin{pmatrix}-2\\1\\1\end{pmatrix} \]
この2本を基底ベクトルと呼びます。
平面のベクトル方程式
平面上の点 $\mathrm{P}$ は基底ベクトルを用いて次のように表せます。
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\,\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\,\overrightarrow{\mathrm{AC}}$$
平面をベクトルで表す方法は下記で詳しく扱っています。
外積の公式
ベクトル $\overrightarrow{a}=(x_1,y_1,z_1)$ と $\overrightarrow{b}=(x_2,y_2,z_2)$ の外積は次のように求めます。

2つのベクトルを横に並べ、両端を消して “たすき掛け” で成分を作ります。今回の例では次のようになります。

得られた $(3,3,3)$ は $(1,1,1)$ と同じ向きなので、法線ベクトルとして $\overrightarrow{n}=(1,1,1)$ を使います。
外積は次のように書きます。
$$\overrightarrow{c}=\overrightarrow{a}\times\overrightarrow{b}$$
外積の意味
外積はベクトルです。つまり、向きと大きさの両方に意味があります。
向き:2本のベクトルに垂直
外積 $\begin{pmatrix}3\\3\\3\end{pmatrix}$ は、元の2本
$$\begin{pmatrix}-1\\2\\-1\end{pmatrix},\quad\begin{pmatrix}-2\\1\\1\end{pmatrix}$$
の両方に垂直です。内積で確かめられます。
$$\begin{pmatrix}3\\3\\3\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}-1\\2\\-1\end{pmatrix}=0$$
$$\begin{pmatrix}3\\3\\3\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix}-2\\1\\1\end{pmatrix}=0$$
右ねじの向きで上下が決まります。

アニメーションでも確認できます。ただし、アニメーションでは $\overrightarrow{c}=(3,3,3)$ と同じ向きの $\overrightarrow{n}=(1,1,1)$ を登場させています。
大きさ:平行四辺形の面積
外積の大きさは、2本のベクトルが張る平行四辺形の面積です。

$$|\overrightarrow{c}|=\left|\begin{pmatrix}3\\3\\3\end{pmatrix}\right|=3\sqrt{3}$$
外積の使いどころ:ベクトル方程式→軌跡方程式
問題風に確認
次の平面のベクトル方程式を軌跡方程式($ax+by+cz=d$)にせよ。
$$\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}3\\0\\3\end{pmatrix}+s\begin{pmatrix}-1\\2\\-1\end{pmatrix}+t\begin{pmatrix}-2\\1\\1\end{pmatrix}$$
平面のベクトル方程式については下記で扱っています。
外積で内積を取る
先ほど求めた外積は $\begin{pmatrix}3\\3\\3\end{pmatrix}$ でした。同じ向きの
$$\overrightarrow{n}=(1,1,1)$$
を使って内積を取ると、媒介変数 $s$, $t$ が消えます。
$$x+y+z=6$$
これが平面の軌跡方程式です。
物理でもよく出てくる
外積は数学だけでなく物理でも本質的な役割を持ちます。高校物理でも、実は外積が隠れている場面があります。
力のモーメント
$$\overrightarrow{N}=\overrightarrow{r}\times\overrightarrow{F}$$
作用点の位置ベクトル $\overrightarrow{r}$ と力 $\overrightarrow{F}$ の外積で表されます。
ケプラーの第二法則
$$\overrightarrow{L}=\overrightarrow{r}\times\overrightarrow{v}=\mathrm{const.}$$
角運動量 $\overrightarrow{L}$ が一定であることを意味します。
まとめ
外積は高校では習わない概念ですが、平面の法線ベクトルを一発で求められる強力な裏技です。ベクトル方程式→軌跡方程式の変換が一気に楽になります。




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