ここでは、積分が微分の逆演算であることを、厳密な証明というよりはイメージで理解します。イメージゆえ、厳密な証明よりもむしろしっくりくると思います。
積分は教科書的には微分の逆演算として導入されます。F(x) を f(x) の原始関数とすると、
∫baf(x)dx=F(a)−F(b)
が成り立つ、と。そして、
F(x) は微分して f(x) になるようなそんな元の関数だ
と。何のことやらと思うと思いますが、この投稿を最後まで読むことで、
そうだよね、それは当然そうなるよね
と思うようになります。
微小変化量の累積が全体の変化量
理解したいゴールの再確認:∫baf′(x)dx=f(a)−f(b)
ここでは具体的に、y=f(x)=x2 を用いて考えてみます。理解したいゴールは、
∫baf′(x)dx=f(a)−f(b)
で、a=1,b=2 を考えてみます。ここで、式(2)は式(1)とちょっと違ってピンと来ないかもしれないので補足します。式(2)と式(1)とは次のように対応します。
- 式(2)の f′(x) は、式(1)の f(x)
- 式(2)の f(x) は、式(1)の F(x)
式(2)の関係式が言えれば、式(1)において「F(x) は微分して f(x) になるようなそんな元の関数だ」と言えるという魂胆です。
そして、式(2)の関係を理解するための結論的なイメージは下記のようですが、順番に見ていきます。
f′(x)dx は図形的に何を表しているか?
いま一度式(2)を見ます。左辺の値がどうなるのか、それを示しているのが上の動画なのですが、そのポイントは積分とは何を表しているのか、また f′(x)dx は図形的には何を表しているかを理解することです。
まず、積分とは何を表しているか、については【積分のイメージ】積分は細かい短冊の寄せ集めで見たように、細かい短冊の寄せ集めです。式(2) の積分に於いその短冊は、
f′(x)dx
です。さて、次にこれは図形的には何を表しているか、です。ここで y=f(x) のグラフと絡めてその図形的意味を考えるのがミソです。
それは、元の関数 f(x) の微小区間 dx での変化量!
f′(x)dx は y=f(x) のグラフに於いては点 x において微小距離 dx だけ進んだ時の y の変化量 (dy) を表しています。次の図は3分割してその様子を確かめたものです。

x=1 から始まって x=2 までの3分割分だけ dx を取ります。
f′(xi) は、点 xi における y=f(x) の接線の傾きですが、それに幅 dx を掛けることによって、その区間の y の変化量(の近似値)が得られます。
具体的には、いま、3分割を考えているので、x1=1, x2=1+13=43, x3=1+23=53 であり、dx=13 です。また、f(x)=x2 の微分 f′(x) は 2x なので、
- f′(x1)dx=2x1dx=2⋅1⋅13=69
- f′(x2)dx=2x2dx=2⋅43⋅13=89
- f′(x3)dx=2x3dx=2⋅53⋅13=109
より、
微小長さの合計=f′(x1)dx+f′(x2)dx+f′(x3)dx=69+89+109=249=2.66⋯
となります。これは、f(2)−f(1)=22−12=3 に近いですが、隙間があります。
実際、f′(xi)dx を y 軸に寄せていったとき、f(1) から f(2) の間に若干の隙間があることが分かります。しかしここではその隙間はあまり重要ではありません。なぜなら、dx とは本来は3分割という粗い分割ではないからです。次の図は10分割です。

10分割すれば先ほどよりも隙間は減ったことが分かります。しかし、dx の分割はもっと細かいです。
次の図は100分割です。

100分割すればもう隙間は無視できるほど小さいといえると思います。しかし実際には dx はもっと細かいのです。
それを足し合わせたものが ∫baf′(x)dx
もっと細かい dx で分割したときの f′(xi)dx の寄せ集めが、
∫21f′(x)dx
です。そしてその寄せ集められた結果は、
f(2)−f(1)
になることはこれまでの図からわかるでしょう。これが、積分は微分の逆演算であるイメージです。
まとめ
微分が積分の逆演算であることを理解しました。
f′(x)dx
というのが y=f(x) の微小区間 dx での y の変化量 dy を表しており、その総和である
∫baf′(x)dx
が y=f(x) の x=a から x=b までの y の変化量 (f(b)−f(a)) を表します。すなわち、
∫baf′(x)dx=f(b)–f(a)
となるわけです。
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