【円周角の定理#5】同じ図形を別角度から味わう|積で解く相似と二等辺三角形が生む相似

中学数学

前稿(円周角の定理#4)で扱った図形を、今回は別の角度から味わいます。同じ図形でも、どこに着目するかによってまったく違う問題が生まれます。一つの問題をしゃぶり尽くすことで点と点の知識が線で結ばれ、発想が豊かになります。

求める部位を変えると別の問題になる

前稿では、角度移動と相似を使って $\mathrm{AD}$ を求めました。今回は、同じ図形を別の角度から眺めます。今回の問題は、個々の長さを求める必要はないよ、ということを学ぶ問題です。

問題

$\mathrm{AB}\times\mathrm{AC}$ は?

ポイントは、$\mathrm{AB}$ や $\mathrm{AC}$ を個別に求める必要はないということです。相似の式は掛け算の式です。その式をそのまま使うことで、一気に答えに到達できます。

積を生む相似:$\triangle\mathrm{ABE}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{ADC}$

$\mathrm{AB}\times\mathrm{AC}$ が欲しいので、それらの辺を含む次の相似に着目します。

$\triangle$$\mathrm{AB}$$\mathrm{E}\;\unicode[sans-serif]{x223D}\;\triangle$$\mathrm{A}$$\mathrm{D}$$\mathrm{C}$

この相似から、次の関係が得られます。

$\mathrm{AB}$$:\mathrm{AD} = \mathrm{AE}:$$\mathrm{AC}$

$\mathrm{AB}$$\times$$\mathrm{AC}$$\; = \mathrm{AD}\times\mathrm{AE}$$\tag{3}\label{p7698eq3}$

右辺に求めたい $\mathrm{AB}\times\mathrm{AC}$ が出てきました。ただし左辺の $\mathrm{AD}$ と $\mathrm{AE}$ はまだ分かっていません。そこで、もう一つの相似を使って $\mathrm{AD}$ と $\mathrm{AE}$ を求めます。

$\mathrm{AD}$ と $\mathrm{AE}$ を生む相似:$\triangle\mathrm{ADC}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{CDE}$

次は $\mathrm{AD}$ と $\mathrm{AE}$ が欲しいので、それらの辺を含む次の相似に着目します。すると、ちょうど $\mathrm{CD}$ もいい具合に表れます。

$\triangle\mathrm{A}$$\mathrm{DC}$$\;\unicode[sans-serif]{x223D}\;\triangle$$\mathrm{CD}$$\mathrm{E}$

$\mathrm{AD}:$$\mathrm{CD}$$\; = \;$$\mathrm{CD}$$:\mathrm{ED}$

\[ \mathrm{AD}\times\mathrm{DE} = (\mathrm{CD})^2\\ \mathrm{AD}\times\sqrt{2} = (2\sqrt{2})^2\\ \therefore\;\mathrm{AD} = 4\sqrt{2}\\ \therefore\;\mathrm{AE} = 3\sqrt{2}\quad(\because\mathrm{ED}=\sqrt{2})\tag{4}\label{p7698eq4} \]

答え

式 \eqref{p7698eq3} と \eqref{p7698eq4} を組み合わせると、

\begin{eqnarray} \mathrm{AB}\times\mathrm{AC} &=& \mathrm{AD}\times\mathrm{AE}\\ &=& 4\sqrt{2}\times 3\sqrt{2}\\ &=& 24 \end{eqnarray}

$$\mathrm{AB}\times\mathrm{AC}=24$$

個々の長さを求める必要はなく、相似の式をそのまま使うことで一気に答えに到達できました。

まとめ

この図形の長さを全て記載すると下記のようですので、確かに $\mathrm{AB}\times\mathrm{AC}=24$ です。

前稿と同じ図形を別の角度から問題にしました。前稿との違いを踏まえて問題を解いてみてください。ここまでしっかりとしゃぶりつくせば、たいがいの円周角相似問題は自信をもって解けるようになるでしょう。

円周角の定理を用いて二等辺三角形から相似を作る

問題

$?$ を求めよ。

この図形は上記の図形を $180^\circ$ 回転させたモノであることに気づきますでしょうか?

解答は一気にこのアニメーションで確認します。

円周角の定理で角度を移動する

円周角の定理より

$$\angle\mathrm{ACB}=\angle\mathrm{ADB}\;(=”〇”)$$

相似を発見する

$$\angle\mathrm{ADB}=\angle\mathrm{ABE}\;(=”〇”)$$

で、角$\angle\mathrm{A}$ 共通より、

$$\triangle\mathrm{ADB}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{ABE}$$

下記の右図は左図を反転させ、相似をイメージしやすくしたものです。

比例式を立てる

$$\triangle\mathrm{ADB}\unicode[sans-serif]{x223D}\triangle\mathrm{ABE}$$

から、

$\mathrm{AD}:$$\mathrm{AB}$$\; =\;$$\mathrm{AB}$$:$$\mathrm{AE}$

$\mathrm{AD}\times\;$$\mathrm{AE}$$\; = \;$$(\mathrm{AB})$$^2$

\[ \mathrm{AD}\times \sqrt{2} = (2\sqrt{2})^2\\ \therefore\;\mathrm{AD} = 4\sqrt{2}\]

$$\therefore\;\mathrm{ED} = 3\sqrt{2}\quad(\because\,\mathrm{AE}=\sqrt{2}) $$

答え

よって答えは

$$3\sqrt{2}$$

まとめ

この問題は、二等辺三角形が円に内接していることが相似を生む源になっていました。底角の一方の角度を円周角の定理によって移動させることで相似が生まれたのです。

また、今回の問題では出てきませんでしたが、$\mathrm{AD}$ は $\angle\mathrm{BDC}$ の二等分線になります。下記の記事で解説しています。

まとめ

前稿と今回の2つの問題は、どちらも同じ図形を使っています。同じ図形、一つの問題をしゃぶり尽くすことで、点と点の知識が線で結ばれ発想が豊かになります。

本稿の一つ目の問題は積を求めさせるものでした。必ずしも個々の値を求めなくてもよい点は、興味深いところです。

二つ目の問題は円周角の定理を使って角度を移動させることにより、二等辺三角形の条件から相似が生まれてきました。

これらの発想の数々を一つの問題から学び取ってください。

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