順像法と同じ問題をここでは逆像法で考えます。逆像法では先に通過点(の候補)を決めて、直線がその点を通るかどうかを確認します。「解の存在条件」がキーワードです。
順像法はこちら↓。
$y=2tx-t^2$ の通過領域
$t$ が実数全体を動くとき、直線 $y=2tx-t^2$ が通過する領域を図示せよ。
実際に通過させるとこのようになります。
解1. あっさりしすぎ?
[解1] 直線の式を $t$ で整理して
$$t^2-2xt+y=0$$
これを $t$ に関する二次方程式とみてその判別式を $D$ と置くと、$t$ が実数解を持てばよいので、
$$\begin{eqnarray}
\frac{D}{4} &=& x^2-y\\
&\ge& 0
\end{eqnarray}$$
よって、
$$y\le x^2$$
解2. 一時的に変数を固定する:通過を願う点の気持ち
上記の解答はあっさりしすぎて逆にわけがわからないかもしれません。慣れるまでは一時的に変数を固定するとよいです。
点 $(X,Y)$ は $y=2tx-x^2$ の通過を願う点
[解2] 点 $(X,Y)$ を考える。この点が直線 $y=2tx-t^2$ を通るとき、$t$ に関する二次方程式
$$Y=2tX-t^2$$
$$t^2-2tX+Y=0$$
は解を持つから、この判別式を $D$ と置くと、
$$\begin{eqnarray}
\frac{D}{4} &=& X^2-Y\\
&\ge& 0
\end{eqnarray}$$
より、$Y\le X^2$
定数 $X$, $Y$ を変数 $x$, $y$ に戻して、
$$y\le x^2$$
解説. 具体的に固定して確かめてみる
$(2,3)$ に解はあるんか?
「点 $(X,Y)$ を考える」と宣言していることに注目しましょう。これは、具体的な点、例えば「点 $(2,3)$ を考える」と言っています。この状態を問題風に書くと、次のようになります。
直線 $y=2tx-t^2$ は点 $(2,3)$ を通るか? 通るなら、$t$ の値と直線の式を求めよ。
解
直線の式に点 $(2,3)$ を代入すると、
$$3=2t\times 2-t^2$$
$$t^2-4t+3=0$$
$$(t-1)(t-3)=0$$
$$\therefore\;t=1,\, 3$$
検算
点 $(2,3)$ は求める領域内にあり、確かに $t=1,\, 3$ としてそこを通る直線が存在します。
$(2,5)$ に解はあるんか?
では、点 $(2,5)$ ならどうでしょうか?
直線 $y=2tx-t^2$ は点 $(2,5)$ を通るか? 通るなら、$t$ の値と直線の式を求めよ。
解
直線の式に点 $(2,5)$ を代入すると、
$$5=2t\times 2-t^2$$
$$t^2-4t+5=0$$
解の公式を用いると、
$$\begin{eqnarray}
t &=& 2\pm\sqrt{4-5}\\
&=& 2\pm i
\end{eqnarray}$$
よって、直線は点 $(2,5)$ を通らない。
検算
点 $(2,5)$ は領域内にはなく、確かに対応する直線は存在しません。
これらからわかること
この2つの例からわかるように、具体的な点 $(X,Y)$ を直線が通るかどうかは、
$t$ に関する二次方程式が解を持つかどうか
ということになり、判別式 $D$ を調べたくなる気持ちが湧いてきます。
まとめ:そこに解はあるんか?
つまり逆像法では、
解が存在するかどうか(解の存在条件)を調べている
ということになります。
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