三角関数の加法定理は、数学のさまざまな分野で活躍する重要な公式ですが、その背景には複素数の美しい構造が隠れています。この記事では、複素数を使って三角関数の加法定理を直感的に理解し、より深い数学の世界へと踏み込んでみましょう。
三角関数の加法定理とは?
三角関数の加法定理は次のような公式です。
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβ
これらの公式は、角度を分割して考えるときに非常に便利ですが、その証明は初学者には難しく感じることがあります。そこで、複素数を使った別の視点から、この定理を見てみましょう。
複素数平面で考える
加法定理を理解するため、z1=cosα+isinα, z2=cosβ+isinβ を考え、その積である z3=z1×z2 を計算します。
これより複素数平面上で座標変換が行われます。その基本は↓の記事でばっちり理解できます。
複素数を掛けると角度が足される
z3=z1×z2 のように複素数を掛けると、z3 は z1 の角度である α と z2 の角度である β の和 α+β の角度を持ちます。すなわち、
cos(α+β)+isin(α+β)=(cosα+isinα)(cosβ+isinβ)
です。これをイメージで表現したのが↓の動画です。
このイメージが理解できれば、あとは展開するのみです。
cos(α+β)+isin(α+β)=(cosα+isinα)(cosβ+isinβ)=cosαcosβ+icosαsinβ+isinαcosβ−sinαsinβ=cosαcosβ−sinαsinβ+i(sinαcosβ+cosαsinβ)
これより冒頭の
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβ
が得られます。このように、複素数を使うことで三角関数の加法定理は簡潔に理解できます。三角関数を扱う際には、複素数の持つ美しい性質を活用すると、よりスムーズに計算ができるようになります。
まとめ
三角関数の加法定理は、角度を操作する際に非常に重要な公式ですが、複素数の視点から見ることでより直感的に理解することができます。
数学の世界には、このような美しいつながりがたくさんあります。 あなたも複素数平面を活用して、数学の魅力をさらに探求してみてはいかがでしょうか?
コメント