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【共通テスト過去問:数学2025年度】三角関数、微分積分、複素数平面 復習しやすく改変

高校数学

 解いて終わりの過去問ではなく、繰り返し解いて実力をつける過去問となるよう加工しています。本番では丁寧な誘導がついていたりしますが、ここではそれらをあえて省くことにより、自分で見通しを立てる練習ができます。自分である程度の見通しが立てられれば、誘導は高みの見物で余裕になります。

II.B.C_第1問:三角関数

0θ<π のとき、方程式

sin(θ+π6)=sin2θ

を解け。

共通テストの誘導

 実際の共通テストではかなり丁寧な誘導がついています。その誘導のエッセンスをここに述べますので、それをヒントとして解いてみてください。

まず、α=θ+π6, β=2θ とおくと、(1)

sinα=sinβ

となります。

(i) 当然、α=β なら、sinα=sinβ です。

(ii) このほかには、α+β を考えることで、sinα=sinβ が分かります。

解イメージ

 同時に解のイメージも持ちたいです。sinα=sinβ の解は、単位円を用いて次のようにイメージできます。

(i)

α=β のとき、(1)を満たすから、

θ+π6=2θ

(ii)

0\le\theta\le\displaystyle\frac{\pi}{2} のとき、0\le\beta\le\pi であるので、\eqref{p6944eq2}が成り立つとき、\alpha+\beta=\pi である。よって、

\begin{eqnarray} \alpha+\beta&=&\pi\\ \theta+\frac{\pi}{6}+2\theta &=& \pi\\ \therefore\theta&=&\frac{5}{18}\pi \end{eqnarray}

(iii)

\displaystyle\frac{\pi}{2}<\theta<\pi のとき、\pi<\beta<2\pi であるので、\eqref{p6944eq2}が成り立つとき、\alpha+\beta=3\pi である。よって、

\begin{eqnarray} \alpha+\beta&=&3\pi\\ \theta+\frac{\pi}{6}+2\theta &=& 3\pi\\ \therefore\theta&=&\frac{17}{18}\pi \end{eqnarray}

II.B.C_第3問:微分積分

 k0 でない実数とし、f(x) を2次関数とする。F(x)G(x) はどちらも導関数が f(x) であるような関数で、F(x)x=0 で極小値 0 をとり、G(x)x=k で極大値 0 を取るとする。

(1) まず、F(x)=2x^3+3x^2 の場合を考える。このとき、F(x)G(x) のグラフを書け。

(2) 次に、k>0 の場合を考える。このとき、F(x)G(x) のグラフの概形を書け。

共通テストの誘導と解イメージ

(1) ではまず導関数 f(x) を求めさせ、極大を与える x の値を求めるよう誘導しています。

 また、G(x) については、「導関数が同じである」ことを明示的に述べることで、積分定数 C を用いて

G(x)=F(x)+C

と表されることを強く示唆しています。グラフのイメージでは、F(x) はすでに決まったグラフ、G(x)F(x) が上下に動いているグラフです。

その上で、「G(x) に関する条件」から C が求まることを示唆しています。

これをイメージすると次のようになります。

この、上下に動くグラフのイメージは、下記↓の記事でも軽く触れています。(「鋭い指摘」部分

(2) の誘導ではいろいろと書かれていますが、F(x)x=0 で極小値 0x=k>0 で極大となるので、今度のグラフの概形は次のようになります。

その上で、(1)と同様に、「G(x) に関する条件」から G(x) のグラフの概形が書けます。

このとき、共通テストではその誘導により、

F(x) の極大値は、G(x) の極小値とどのような関係にあるか

と問われています。答えは -1 倍 なのですが、ここではそれを意識して概形を書きましょう。

(1)

問題を再掲します。

 k0 でない実数とし、f(x) を2次関数とする。F(x)G(x) はどちらも導関数が f(x) であるような関数で、F(x)x=0 で極小値 0 をとり、G(x)x=k で極大値 0 を取るとする。

(1) まず、F(x)=2x^3+3x^2 の場合を考える。このとき、F(x)G(x) のグラフを書け。

\begin{eqnarray} f(x) &=& 6x^2+6x\\ &=& 6x(x+1) \end{eqnarray}

より、x=-1 で極大値 F(-1)=2(-1)^3+3(-1)^2=1 をとる。

ゆえに F(x) のグラフは下図。

続いて G(x) を考えるが、G(x)F(x) の導関数は同じであることから C を積分定数として G(x)=F(x)+C とおけ、G(x) の極大値が 0 ということより、

\begin{eqnarray} 0 &=& G(-1) = F(-1)+C\\ &=& 1+C\\ \therefore\; C&=&-1 \end{eqnarray}

グラフは下図のようになる。

(2)

問題を再掲します。

(2) 次に、k>0 の場合を考える。このとき、F(x)G(x) のグラフの概形を書け。

 F(x)x=0 で極小となり、x=k>0 で極大となることから、F(x) の概形は下図。

次に G(x) を考えるが、G(x)F(x) の導関数は同じであることから C を積分定数として G(x)=F(x)+C とおけ、G(x) の極大値が 0 ということより、概形は下図。

II.B.C_第7問:複素数平面

 \alpha, \beta, \gamma を異なる複素数とし、複素数平面上に3点 \mathrm{A}(\alpha), \mathrm{B}(\beta), \mathrm{C}(\gamma) をとる。また、z0, 2, -2 でない複素数とする。

(1) \alpha=z, \beta=2, \gamma=\displaystyle\frac{4}{z} とするとき、直線 \mathrm{AB} と直線 \mathrm{AC} が垂直に交わるような点 z 全体を複素数平面上に図示せよ。

(2) (1)の \alpha, \beta, \gamma をそれぞれ -1 倍した複素数 \alpha^\prime = -z, \beta^\prime=-2, \gamma^\prime=-\displaystyle\frac{4}{z} について考える。複素数平面上の異なる3点 \mathrm{A^\prime}(\alpha^\prime), \mathrm{B^\prime}(\beta^\prime), \mathrm{C^\prime}(\gamma^\prime) について、直線 \mathrm{A^\prime B^\prime} と直線 \mathrm{A^\prime C^\prime} が垂直になるような点 z 全体を複素数平面上に図示せよ。

(3) (1)の \alpha, \beta, \gamma における z-z に置き換え、 \alpha^{\prime\prime} = -z, \beta^{\prime\prime}=2, \gamma^{\prime\prime}=-\displaystyle\frac{4}{z} について考える。複素数平面上の異なる3点 \mathrm{A^{\prime\prime}}(\alpha^{\prime\prime}), \mathrm{B^{\prime\prime}}(\beta^{\prime\prime}), \mathrm{C^{\prime\prime}}(\gamma^{\prime\prime}) について、直線 \mathrm{A^{\prime\prime} B^{\prime\prime}} と直線 \mathrm{A^{\prime\prime} C^{\prime\prime}} が垂直になるような点 z 全体を複素数平面上に図示せよ。

複素数平面については下記↓の記事で基礎的なところを解説しているので、苦手意識のある方はまずはここから復習ください。

共通テストの誘導

 実はこの問題に入る前にもう一つ問題があり、次のようなものです。

\alpha=3+2i, \beta=7, \gamma=7+10i のとき、\displaystyle\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} の偏角を求めよ。

\omega=\displaystyle\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} とおく。直線 \mathrm{AB} と直線 \mathrm{AC} が垂直に交わるのは、

\omega+\overline{\omega}=[\;\;\;]

のときである。

これを解いておくと、

\begin{eqnarray} \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha} &=& \frac{(7+10i)-(3+2i)}{7-(3+2i)}\\ &=& \frac{4+8i}{4-2i}=\frac{(4+8i)(4+2i)}{(4-2i)(4+2i)}\\ &=& \frac{40i}{20}\\ &=& 2i \end{eqnarray}

純虚数になったので、直角に交わっています。この場合、偏角は \displaystyle\frac{\pi}{2} です。

これをイメージで捉えると下図のようになります。

つまりこの場合は、\omega = 2i となったわけで、\overline{\omega}=-2i なので、

\omega+\overline{\omega}=0

です。

この誘導を用いて本題を解いていきます。この性質含め、基礎的なところは↓の記事で復習できます。該当箇所はこちら

(1)

問題を再掲します。

 \alpha, \beta, \gamma を異なる複素数とし、複素数平面上に3点 \mathrm{A}(\alpha), \mathrm{B}(\beta), \mathrm{C}(\gamma) をとる。また、z0, 2, -2 でない複素数とする。

(1) \alpha=z, \beta=2, \gamma=\displaystyle\frac{4}{z} とするとき、直線 \mathrm{AB} と直線 \mathrm{AC} が垂直に交わるような点 z 全体を複素数平面上に図示せよ。

\begin{eqnarray} \omega &=& \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{\displaystyle\frac{4}{z}-z}{2-z}\cdot\frac{z}{z}\\ &=& \frac{4-z^2}{z(2-z)} = \frac{(2+z)\cancel{(2-z)}}{z\cancel{(2-z)}}\\ &=& \frac{2+z}{z}\\ &=& 1+\frac{2}{z} \end{eqnarray}

より、直線 \mathrm{AB} と直線 \mathrm{AC} が垂直に交わるための必要十分条件は、

\left(1+\frac{2}{z}\right)+\overline{\left(1+\frac{2}{z}\right)}=0

であるから、これを整理すると

2+\frac{2}{z}+\frac{2}{\overline{z}}=0

この両辺に z\overline{z} をかけて整理すると、

\begin{eqnarray} 2z\overline{z}+2\overline{z}+2z=0\\ z\overline{z}+\overline{z}+z=0\\ (z+1)\overline{(z+1)}=1\\ |z+1|^2=1\\ \therefore\;|z+1|=1 \end{eqnarray}

すなわち、中心 (-1,0) で半径 1 の円となる。ただし、(-2,0), (0,0) は除く。

(2)

(2) (1)の \alpha, \beta, \gamma をそれぞれ -1 倍した複素数 \alpha^\prime = -z, \beta^\prime=-2, \gamma^\prime=-\displaystyle\frac{4}{z} について考える。複素数平面上の異なる3点 \mathrm{A^\prime}(\alpha^\prime), \mathrm{B^\prime}(\beta^\prime), \mathrm{C^\prime}(\gamma^\prime) について、直線 \mathrm{A^\prime B^\prime} と直線 \mathrm{A^\prime C^\prime} が垂直になるような点 z 全体を複素数平面上に図示せよ。

\begin{eqnarray} \omega &=& \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{\displaystyle\frac{4}{-z}-(-z)}{-2-(-z)}\cdot\frac{z}{z}\\ &=& \frac{-4+z^2}{z(z-2)} = \frac{(z+2)\cancel{(z-2)}}{z\cancel{(z-2)}}\\ &=& \frac{z+2}{z}\\ &=& 1+\frac{2}{z} \end{eqnarray}

よって、(1)と同じ。

すなわち、中心 (-1,0) で半径 1 の円となる。ただし、(-2,0), (0,0) は除く。

なぜ同じになった?

(1)と(2)の \omega の式を見比べれば明らかです。

(1)の \omega
\omega = \frac{\displaystyle\frac{4}{z}-z}{2-z}

(2)の \omega
\omega = \frac{\displaystyle\frac{4}{-z}-(-z)}{-2-(-z)}

両者は分子分母に -1 を乗じているだけで同じです。

(3)

(3) (1)の \alpha, \beta, \gamma における z-z に置き換え、 \alpha^{\prime\prime} = -z, \beta^{\prime\prime}=2, \gamma^{\prime\prime}=-\displaystyle\frac{4}{z} について考える。複素数平面上の異なる3点 \mathrm{A^{\prime\prime}}(\alpha^{\prime\prime}), \mathrm{B^{\prime\prime}}(\beta^{\prime\prime}), \mathrm{C^{\prime\prime}}(\gamma^{\prime\prime}) について、直線 \mathrm{A^{\prime\prime} B^{\prime\prime}} と直線 \mathrm{A^{\prime\prime} C^{\prime\prime}} が垂直になるような点 z 全体を複素数平面上に図示せよ。

\begin{eqnarray} \omega &=& \frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{\displaystyle\frac{4}{-z}-(-z)}{2-(-z)}\cdot\frac{z}{z}\\ &=& \frac{z^2-4}{z(z+2)} = \frac{(z-2)\cancel{(z+2)}}{z\cancel{(z+2)}}\\ &=& \frac{z-2}{z}\\ &=& 1-\frac{2}{z} \end{eqnarray}

より、直線 \mathrm{AB} と直線 \mathrm{AC} が垂直に交わるための必要十分条件は、

\left(1-\frac{2}{z}\right)+\overline{\left(1-\frac{2}{z}\right)}=0

であるから、これを整理すると

2-\frac{2}{z}-\frac{2}{\overline{z}}=0

この両辺に z\overline{z} をかけて整理すると、

\begin{eqnarray} 2z\overline{z}-2\overline{z}-2z=0\\ z\overline{z}-\overline{z}-z=0\\ (z-1)\overline{(z-1)}=1\\ |z-1|^2=1\\ \therefore\;|z-1|=1 \end{eqnarray}

すなわち、中心 (1,0) で半径 1 の円となる。ただし、(2,0), (0,0) は除く。

まとめ

 2025年度共通テストの数学の問題のいくつかをピックアップして解説しました。実際の共通テストではかなり丁寧な誘導がついているので、まずは誘導の前半部分は確実に得点し、また誘導に素直に乗りながら解いていくとよいです。

しかし一方で復習する際にはある程度誘導なしで解くことで、よりしっかりと理解することができます。これがその一助になれば幸いです。

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